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船内イベント
官能リレー小説 - その他

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船内イベント 6

指定された部屋は中々見えてこない。そのうち奇妙な空間に入り込んでいた。
壁一面に数字が書かれた扉がずらりと並んでいる。
どうやらそれが外れを引いた参加者に割り振られた部屋らしいのだが、部屋というよりかは電話ボックスのような縦長の箱だ。
「こんな箱が部屋だなんて、外れを引いた人は可哀想だな」
幸生が呟く。
「そうだね…でも、司会者は例え外れでも損をすることはないと言っていたけど」
「本当かな。なんか怪しい気がするんだけど」
「俺もそう思う」
そんなことを話していると、そこに外れを引いたらしき男がやって来た。
やはりその男も筋肉質で格闘術に長けていそうな雰囲気がある。
その男が並ぶ扉の一つに入ると、ガチャリと鍵の閉まる音がした。
すると電子キーらしき機械が緑色に光り、それに続いて扉になにやら文字列が表示された…が複雑で何が書いているのかわからない。
同じように文字列を出した扉がいくつかあるので、もう既に何人かがあの中に居るのだろう。
「なんだこれ?暗号か何かかな」
幸生は不思議そうにそれを眺めていた。
「計算式にも見えるなぁ…」
しばらく見ていると、扉の表示は消えていった。
「よくわかんねぇな」
「うん」
僕達はそう言って歩き出した。
それからしばらくしてようやく僕達の部屋が見えてきた。外れの部屋とは違い、見えている扉だけでも高級感溢れる装飾が施されている。
「豪華なお城にありそうな扉だな…」
「中はどんな感じだろう」
僕達は期待に胸を膨らませながら、その部屋へと入って行った。
「うおっ!?すげぇ!」
幸生が思わず叫んだ。
内部は予想と違い、巨大な青色のゼリーの様な物で満たされたプールのようなものになっていた。底にはキラキラとした石が敷き詰められている。
そして天井からは様々な色に輝く光が降り注いでいてとても幻想的だった。
「こんな部屋があったなんて…まるで宝石のようだ」
僕は感動していた。こんな綺麗な光景は生まれて初めて見た。
「ああ…本当に凄いな」
幸生も圧倒されている様子だった。
部屋というよりかは水族館の水槽の中に入ったような感覚に近いかもしれない。
金持ちが泊まる客室のような部屋を期待していたので少し残念ではあったが、これはこれで楽しめそうである。
「しかしこれは部屋と呼べるのかねえ…?ベッドも無いし椅子も無い。部屋らしいのは玄関の周囲だけだな」
幸生が言った。確かに言われてみると部屋の設備は何も無い。寝室どころかシャワールームすらも無いのだ。
「でもまあいいんじゃないかな、ここはホテルじゃないんだしさ。風呂や寝室は外にあるのかも。それに僕はこういうの好きだな。ロマンがあってさ」
僕は言った。実際この部屋には夢がある。
「お前が気に入ってるならそれでいいけど…ところで、この水みたいな青い物は一体なんだろう?」
幸生は興味深そうにゼリー状の水を触った。
それは冷たくてプルンとしているように見えた。

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