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海と、女体の誘惑
官能リレー小説 - その他

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海と、女体の誘惑 1

小矢部貞晴、25歳の夏。


「何だってまた、こんな事になったのやら……」

真夏の海、雲1つ無い快晴の空の下。
貞晴は、相変わらず身の振る舞いも分からぬまま、膝上ほどまでの丈があるズボン状の海水パンツを身に着けた姿で浜辺に立っていた。

“相変わらず”と言ったのは、実はこれが2回目だからである。
とりあえず、暑い……今はそれしか頭に浮かばなかった。


事は、大学時代からの知人の男に、話を受けたところから始まる。

橋田修。

大学では同学年であったが、学生同士の集まりでたまたま幾度か話した程度であり、当時はそこまで深い仲ではなかった。
友人、と言って良いのかは微妙な立ち位置がしばらく続いたが、これ以降の付き合いが思いのほか長くなることを考えると、この辺りから友人と呼んで差し支え無くなっていったと思われる。

学生の頃から、彼は女タラシというか、いわゆるプレイボーイとして名を馳せていた。
男として羨ましくもある反面、実態がどうなのかを深く問うてみたことは無い。
ある種の誇張も含まれた表現なのではないかと、貞晴は疑念を抱いていた。

そんな修とは、時おり学生時代の仲間内での飲み会が企画されて、大学卒業から時を経てもまれに話す機会があった。
やがて、貞晴は明確な“誘い”を受けることになる。

要約するとこうである。

もともと修はナンパの経験も豊富で、今年も海での活動を考えていたらしい。
ところが今年はいつもの男の連れが正式に彼女を作ったこともあって、今回からは参加を辞退しており、代わりとなる他の相方を探していたのだという。
なんでもナンパは、2人コンビで臨むのが一番確実なのだとか……。

対して貞晴は、大学卒業直後こそ彼女はいたが、その関係も潰えて久しく、しばらく新しい彼女も作れないでいた。
何気なく飲み会でそれを口にしたことを、修はしっかり覚えていたらしい。
彼は貞晴を、そのナンパの相方となるよう誘ってきたのである。

「そんな様子じゃ、どうせ今年はまだ一度もヤってないんだろ? 行こうぜ!」

まあ今年どころか、あの彼女以来抱いていないのだが……

結局、貞晴は半信半疑で、彼の話に乗ることにした。
本当にそんなことで女が抱けるとか言うなら、是非ともあやかりたいというのが正直な本音であった。


ただ、いざ当日を迎えた途端、尻込みしてしまう気持ちもあった。
承諾したことを、少し後悔してしまう程である。

こちらが2人でコンビを組む以上、基本的に修が声をかける相手は、2人組の女の子が基本であった。

実際のところ、女の子を誘う文句はほとんど修から展開されていくばかり。
貞晴とて学生時代は彼女欲しさに知り合いの女の子たちを口説いてみた経験はそれなりに積んできている身ではあるし、当たり障りない程度には会話に加わっていった。
とはいえ、さすがに海の浜辺で、見ず知らずの水着女子を口説くなど未知の経験過ぎる上、下手に場を悪くして修の足を引っ張っても悪いと思い、どうしても消極的な言動が多くなり、それにも関わらず神経はみるみる削られていくばかり。

やがて、何人かとはそこそこ会話が弾み、連絡先の交換を行いはしたが、それ以上の進展は特に無く、気づくと日暮れ時を迎えると共にどっとした疲労感ばかりが残されていた。

そして連絡先を得た女の子たちについても、後日、誰からも応答が来ない始末。
修は修で、あっけらかんと「今回は日が悪かったなー」とか言うばかり。
結局、徒労感ばかりを残して、夏の海の旅行は成果ゼロと相成った。


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