PiPi's World 投稿小説

雄大なる雫
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 5
 7
の最後へ

雄大なる雫 7

『キ〜ノ、キノキノキノッ!』
突如、頭の中に嫌悪感を与える声が響き渡る。
脈々と受け継がれてきた生命の雫が優しき母のごとき声だとすれば、それは個々人が欲望のままに目の前の快楽を貪るような雑多な騒がしい声だった。
伸縮するキノコの吐き出す桃色の胞子が周囲を埋め尽くす中、それらがさざめくように波うち声を伝えてるように見えた。
『雄大なる雫を受け継ぎし民も、ずいぶんと我欲に染まりきったものノコ!』
『ただただ雫を練り上げ。その恩恵に感謝していたから、お前らは安寧を得ていたキ〜ノ!』
『なのに自分が種つけで気持ちよくなることを優先し、強者を支え謙虚に生命の雫を練り上げ続けない若者が生まれちまったノココ!』
『だから俺らに心の隙間をつかれ、弱者による汚染の尖兵にされちまうキノッ! キノコッコッコッ!!』
ボーングがおぞましい声に動けずにいると、胞子にペイントされた若者たちの身体が変化していく。
彼等はあっという間に人狼と呼ばれる魔物へと姿を変えていた。
「まさか…人狼が実在していたなんて」
ボーングは唖然とした。物語でしか聞いた事のない存在が目の前に何体も居る、しかもそれは元は若者達だ。
ボーングはどうしていいかわからなくなっていた。
すると突然、真っ白な光が周囲を照らしボーングの身体が輝きだす。
それは彼の祖母、母や姉妹、娘に孫たちが練り上げ受け継いできた雄大なる雫の力だった。
時には偉大なる力強き男が女たちを犯し種つけ、周囲の男たちがそれを支えて女たちを守り続けた。
時には複数の男たちが交互に女たちの肉洞を耕し、全員の力を合わせて生命の雫を練り上げ続けた。
そうした例え自らは女を抱けずとも一族のために戦い続けた男たちの汗と涙と精。そして孕み搾乳され続けた女たちの乳と蜜と涎の結晶。
それこそが雄大なる雫の輝きであり、ボーングの身体に宿っている確かな力の源だった。

真っ白な光に照らされた範囲には、桃色の胞子が入ってくることはなかった。
ボーングの目の前には、胞子によってムキムキの肉体をフサフサの毛皮で覆い、一回り以上長く逞しく勃起した肉槍を見せつける若者たちが寄ってきている。
良くも悪くも彼等はレザ一人によって性質が変わってしまったコミュニティから出ることが出来たのだ。狼の顔になったその表情は生き生きとしていた。
「嫌な思いしながら不満のある集団に居るよりかはこれで良かったのかもしれんな…」
ボーングは彼等の変化を好意的にとらえた。その若者の一人がボーングの腰に手を回した。
明らかに発情している。だが、ボーングはそれを不快とは思わなかった。
「とにかくこれがお前達の到達した答えなんだな」

この変化はキノコ達にも予想外のようだった。
本来なら自我すらも崩壊したグロテスクなキノコの化け物になる筈であった。それが逞しい白い狼男になり、ボーングに迫っている。
『くっそー!! なんでそんなに性欲が強いキノ!?』
『こんなことなら最初からキノコ汁にして喰ってしまえばよかったノコォオオオッ!!』
キノコ達は悔しそうに頭の傘を振り回した。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す