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雄大なる雫
官能リレー小説 - その他

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雄大なる雫 6

若者達はキノコの胞子のもっとも濃い中へと追いやられていた。ボーングは追いかけるが、追いやられる彼等の方が速かった。
その頃になると彼等の姿は桃色の霧の向こうにかすかに見えるくらいになっていた。ここまで濃度が濃ければ窒息するのではないかと簡単に想像が付く程だった。
濡れた若者達の肉体に胞子がこびりつき、まるでボディペイントの様になっていく。それはボーングの見ている前で次第に色を濃くした。
ボーングはもう若者達を追えなくなっていた。胞子が濃すぎて進めないと判断したからだ。
だが、ボーングの居る位置からでも若者の姿は見える。

もはや完全に部族としての構成が壊れていた。レザという強靭な異物が入ったからだ。
レザは身を引いて若者達に譲るか、自らを中心にした新しい体制を構築するかすればよかったのだ。そのどちらもせず既存の組織に入り込んで若者達に不和をもたらしたレザは全面的に悪かった。
レザは短絡的な快楽にしか目がいかず堕落した若者の事を哀れで情けないと思っているが、そんなことを言える立場ではないのだ。
自分が異物であることを知っていたくせに流されるままに今の地位に収まって若者達を追い出してしまったレザこそ短絡的としか言いようがない。
しかし、それを自覚できないのが人間である。そして人間には自分の過ちを認める事は難しいものである。

「あ……」
ふいにボーングが小さく声を上げた。
彼の目の前で桃色の霧の中を泳ぐように漂っていた若者達が突然姿を消したのだ。
そう思った瞬間、ボーングも何かに吸い込まれるような感覚を覚えた。
彼等とはかなり距離が離れていたのに、である。
気が付いた時には、そこは先ほどまでいた場所ではなかった。
「……ここは」
そこには広大な空間が広がっていた。
そこを無数のキノコが埋め尽くしている。さっきまで居た場所に生えていた数とは比べ物にならない程だ。何より違う点は、それが全て同じ種類のキノコであるということだ。
それだけならば、まだ不思議はない。
問題は、このキノコが普通とは違うところにあった。
それらは激しく伸縮していたのだ。まるでしごかれるペニスのように。それを見て、ボーングは何が起こったのかを理解した。
恐らく、あの桃色の霧に紛れてどこかへ飛ばされたのだ。
おそらく、若者達も同じだろう。
ここはそういう『場』なのだ。

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