PiPi's World 投稿小説

奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 98
 100
の最後へ

奇跡の男と牝奴隷たち 100

(ディオンには私の眼の力が効かない。だから、私がディオンを搾り尽くして殺してしまわなければ、私のことを忘れないとは思うけど……)
ライラはセックスをして生気を人間から奪いたいと思う気持ちは、単純に餓えだと思ってきた。毛玉が触手で生気を回復してくれるようになって、それが餓えではなかったことに気がついた。
セックスをした相手を憎いと思わない限り、殺してしまわないように注意はしてきた。
召喚されて初めて人間から生気を奪取したとき、ライラは我を忘れた。その時は、かなり生気が不足していた状態だったのだが。召喚した術師を殺害したとき、ライラは何も感じなかった。
放浪していて、ライラを強姦して金品を奪おうとした野盗からも命を奪い尽くした。
放浪の旅で、ライラを泊めてくれた親切な村人もいた。しかし、ライラの命が衰弱すると闇の中で紅き瞳が輝く。すると、欲情してライラとの交わりを求めてきた。ライラは生きのびた。命を奪うつもりはなかったのに、翌朝に親切な村人は衰弱しきっていた。
ライラはもう誰から生気を奪わず我慢しようと決意した。もう、そのまま死んでしまってもかまわないと思った。
村から街にやって来て、ライラを誘った酔った男がいた。宿屋でライラの瞳が紅くなっていないが、犯そうとしてきて、押し倒されて頬を叩かれた。唇が切れた。口の中にひろがった血の味と怒りに、ライラの瞳が紅く光った。
ライラが殺害した男はギャング。その街では、ギャングどもの抗争があった。ライラは優秀な暗殺者となった。ライラを抱いた者は生気を奪取されて死ぬ。欲情した相手はおあずけされたら、秘密にしていた情報もライラにペラペラとしゃべった。格闘術はギルドの暗殺者だったときに身につけたものである。
死にかけた村人が旅人に、紅蓮の瞳の女の話をしたのが語り継がれた。それはもともと、この世のものとは思えない美しい女があらわれたが、その正体は仲間を狩られたので人に化けて復讐にやって来た虎や狼であった、というような変身譚の伝承も大陸にあったせいでもある。
暗殺者ライラは得た情報や手柄は依頼者に譲り、ひたすら自分の生きるために必要な生気を、ギャングや悪趣味な貴族や商人から奪取した。
依頼者のうちの一人に、商業ギルドの幹部がいた。その人物はライラを養女として手元に飼っておくことにした。敵の依頼を受けたライラが自分を殺しに来るのを警戒して。
その幹部だった人物は商業ギルドの首領となるために、ライラを暗殺者として利用した。
ライラがどうやって相手を殺害するのかは商業ギルドの首領は知ろうとはしなかったが、ライラに狙われた者は必ず抹殺されることを疑うことはなかった。
ライラが姿をくらましたあと、商業ギルドの首領はライラを探索したりはしなかった。
旅商人アーロンを餌として、恋人、妻、娘とアーロンの年齢に合わせ催眠の暗示で思い込ませ、ライラはアンドレスの街へとやって来た。今はアンドレスの街の評議会メンバーとしてライラは潜伏している。
商業ギルドの首領と対立した高額の懸賞金のかかったギャングどもを抹殺した凄腕の暗殺者について、さまざまな噂話がギャングどもには伝わっている。
だが、その暗殺者が見た目は華奢な美少女でライラという名前である事実を知る人物は、商業ギルドの首領と、あとは手をふれた相手の情報を知ることかできるアベコウキだけである。
商業ギルドの首領の記憶を改竄したり、殺害しなかったのは、利用価値があるとライラが判断したことや、失踪後に余計な探索を行わなかったので、とりあえず見逃してあげることにしたからであった。
失踪時に、商業ギルドの首領が、ライラの情報をギャングどもに提供したり、商業ギルド乗っ取りの秘密を隠蔽するためライラに賞金をかけ抹殺しようとしていたとしたら、商業ギルドの首領をライラは殺害するために訪れていたにちがいない。
また商業ギルドがルミエールと敵対することがあれば、いつでも商業ギルドの首領を暗殺するつもりでいる。
そんなライラの凄絶な過去を、吟遊詩人ディオンは知らない。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す