PiPi's World 投稿小説

奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 -1
 1
の最後へ

奇跡の男と牝奴隷たち 1

アルベルは途方に暮れていた。
「お腹すいた……もう、やだぁ」
路地裏でしゃがみこんで泣きそうになるのをこらえていた。
手持ちの所持金は銅貨2枚。村から街へ、途中で野宿もしながらやってきた。
つり銭の残りもあとわずか。
この街には、どんな病気やケガでも無料で癒してくれるがいる人がいるという。
「は、そんな噂話なんて、誰に聞いたんだよ。でたらめだろ。それより、俺といいことしようぜ、お嬢ちゃん」
「……どうもありがとう、じゃあね」
「おい、待てよ」
アルベルは立ち止まってふりむいた。
走って逃げる体力がない。今が夜で、話しかけた男が酔っぱらいでなければ、アルベルの顔色は空腹で貧血で倒れる寸前、ひどく青ざめているのに気がついたにちがいない。
アルベルは肩をつかまれたとき、目の前の視界かすうっと狭まっていくのを感じた。
(あ、やばいかも)
アルベルは路上でしゃがみこんでしまった。
「どうしたぁ、ほら、立てよぉ」
酔っぱらいの男が、へらへらと笑いながらアルベルを見下ろしている。
「ほっといて」
それだけやっと小声で言った。
「その小娘はわれわれが保護する」
「あ、なんだぁ、こいつは俺が見つけたんだぞ……ちっ、ついてねぇや」
すらりとした凛々しい軍服姿の若い金髪の女性が、兵士を三人連れて立っていた。
「話はあとから聞く。とりあえずスープを飲んで、ゆっくり眠ればいい」
街の警備隊の屯所に保護されたアルベルは、ベッドの上で熱いスープをゆっくりと口に運んだ。
「ありがとうございます。あの……」
金髪の女性はアルベルが何かを言いかけるが、飲み終えたスープの木椀を受け取り部屋を出ていった。
アルベルはベッドに寝そべり目を閉じた。疲労が限界に達している。すぐに眠り込んでしまった。
「これより、われわれは賭博場に摘発にむかう。裏手と正面から二手に別れ、私が中に入ったあと一人も逃がすな」
金髪の女隊長は、屯所の庭に整列した三十名の兵士に指示を与える。
正面と裏手に兵士を十名ずつ、二十名を待機させ、女隊長自身は残り十名を連れて突入する。
賭博の景品として街で失踪している女性たちが慰みものにされている。
アルベルを保護したことで、被害者女性を見つけたことにして、この女隊長は強引だが強制捜査に踏み切ることにしたのである。
踏み込んでしまえば証拠はいくらでも押さえられると確信している。
「警備隊だ、全員、その場から動くな!」
「牝狐がっ、ちくしょう!」
腕をひねられ、床に押しつけられた小太りの中年男が女隊長に悪態をつく。
「その豚は逃がすな。私は拉致された女性たちを捜索する」
「はいっ!」
女隊長は賭博場の地下階に続く階段を一人で駆けおりていく。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す