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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 101

暗殺者で商業ギルドの首領の養女であることをアベコウキが気がついているらしいとライラが感じたとき、眼の力で催眠状態にしようとしたが効かず、さらに力づくで殺害しようとしたがアベコウキの魔法の罠にかけられ、失敗している。
アベコウキはライラの過去を知っているようなことを言ったのだが、なぜか気にする様子はない。簡単に魔法を習得させたり、ダンジョンを作成したりする人物で、見た目は子供だが、知識は普通の常識から逸脱したところがあるためかもしれない。
そのアベコウキと同じように、吟遊詩人ディオンもライラの紅き眼の力が効かない。そして、ライラの過去の罪、親切にしてくれた人間を、快楽は与えたとはいえ、殺害しそうになったことを「古いおとぎ話」として知っている。
もう人間の命を、毛玉やダンジョンの湯があれば、ライラは奪わないで生きることができる。まさかそんな日が来るとは、夢にも思わなかった。
街の路地裏でめまいで動けなくなっていた吟遊詩人ディオンを拾ったとき、ライラは村はずれで自分が疲れ果て動けなくなっていたときに、声をかけて家に連れ帰ってくれた人間のことを、ひさしぶりに思い出した。
(ディオンは今、私に人とふれあうよろこびを教えてくれている。私はディオンの命を奪わずにいられるのだろうか?)
ライラはディオンの腕の中で、自分に問いかけた。
ディオンは一緒にベッドにいる美しく華奢な体つきの女性ライラが、何を考えているかまではわからないが「ライラ、君とこうしているだけでも、俺は癒されているような気がする」と今わかっている自分の気持ちだけは伝えた。
ディオンは今夜も目を閉じて、眠りの中へ身をゆだねることにした。
ライラも目を閉じた。
生気を奪ってしまったら、奪った分だけディオンは急激に老衰していってしまうだろう。アンドレスの街の宿屋でライラのことを娘だと思い込んで暮らしている商人アーロンは、ライラが生気を奪わなければ、もっと若い姿をしていたはずだった。
吟遊詩人ディオンは旅を愛する者。いずれまた旅に出てゆくだろう。その時までに、ディオンとしてみるかどうか決断すればいい。ディオンがライラを求めてきたら、一夜にして老衰してしまい死に至るかもしれないことをしっかりと説明しようと、ライラはもう今夜は考えるのを止めて眠ることにした。
大陸にはいくつかの組織が勢力としてある。
南公主イグナートの組織。大陸を帝国として統一することを掲げている。ルミエールが王都や故郷の東公領から離れて滞在しているアンドレスの街をふくむ西公領を、潜伏させた策師のサンダリオによって混乱させようと企てている。
商業ギルドの組織。領土は保有していないが、王国の王都に近い貴族たち、とりわけ宮廷の幕僚たちにかなりの金銭を貸しつけをしている。そのため、王立の宮廷管轄の機関を利用することがある。その資金源は貴族や王家からの返済、犯罪組織のギャングどもの上納金、さらに古代遺跡の探索によって得た財宝という噂もあるがはっきりとしていない。
北公主ヴァイナモの組織。職人、とりわけ大山脈から掘り出した鉱石を加工する者たちの本拠地となっている。商業ギルドと対等に取引を行い、南公主イグナートの組織や商業ギルドとは別の独立した組織としてある。かつて五大国として分裂していた頃の気風が強く残っている地域であるため、他の組織の暗躍を警戒している。
西公主ダルア公の組織。かつてはエード族の王国であった歴史を持つが、南公領以外の各地の移民たちが集まって開拓されたので、商人たちも多い。宮廷とは深い関係性を持たない。公主ダルア公が酒池肉林の散財を続けており、政治的な意思表示を示すために宮廷会議に姿をみせることも近年ではまったくない。しかし王国への納税は以前と変わらず行われているため、宮廷としては放任している組織となっている。

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