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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 99

寝室では、ベッドがわりのスライムが淡い光を放っている。
ダンジョンの家の天井の発光はマリーナの家と同じようにリビングや浴室にはあるが、寝室は天井の発光ではアベコウキには明るすぎる気がしたので、ベッドがわりのスライムが淡く発光するようにされていた。
ベッドがわりのスライムの上の真ん中あたりで毛玉がおとなしくしている。
ライラがベッドに毛玉を置いたところ、服と同じようにスライムの中に沈み、数秒でベッドの上に浮上してきたら、ふわふわに毛玉が乾いていた。スライムの上に横向きに寝そべっているライラが毛玉を撫でながらそんな話をする。
ディオンもスライムの端にゆっくり腰を下ろしてみる。ベッドがわりのスライムは座り心地がとてもいい。
吟遊詩人ディオンは、ライラの隣に仰向けに寝そべり天井を見上げていた。
ライラはディオンの腕のつけねに頭をのせて、ディオンの胸板の上に手をのせてそっと撫でていた。ライラの肩の丸みをディオンも手でつつんでいる。
「ディオンの手、あったかい」
ライラがつぶやくように言う。ディオンが腕まくらをしていないほうの手で、ライラの頭を撫でる。
ダンジョンの湯はHPとMPを全回復する。
毛玉もライラや吟遊詩人ディオンのHPとMPが減っていないので、触手をのばして回復させようとはしてこない。
おだやかで静かな夜。
吟遊詩人ディオンは、動けなくなる日まで世界を旅して、いろいろな知らないものを見たり聞いたりしながら生きたい。
しかし、寝そべってライラに甘えられながらゆったりとしていると、こんな夜も悪くはないとディオンには思えてくる。
旅暮らしに慣れきっているディオンに、とまどいと安らぎがあるように、ライラにもとまどいと安らぎがある。
紅蓮の瞳の力で催眠状態になっていない人間と、肌を合わせていることがなかった。催眠状態で欲情した人間は男も女もライラに絶頂させて欲しがった。
その願いを叶えて、ライラは生きるために生気を奪う。その必要が今は、毛玉が生気を補ってくれるのでなくなった。
それでも、吟遊詩人ディオンの生気が欲しいと思う気持ちが消えない。そのとまどいがある。
吟遊詩人ディオンはライラが愛撫すれば、欲情している証に勃起もするが、強引にライラの体を道具のように扱うことはない。その安心感がある。
「ディオン、私としたい?」
「したくないと言えば嘘になる。でも、したら君ともう会えなくなるのなら、したくはないな」
ライラは魔族だと知られないように、命を奪うか、今まで生気を奪った者たちの記憶を改竄してきた。
伝承されてきた「紅蓮の瞳の女」はセックスをした者の前から姿を消す。
商業ギルドの首領は、養女としたライラの存在を心の底から恐怖している。ライラはアンドレスの街の宿屋の主人アーロンの記憶を、初めは恋人、次は妻、今は娘だと記憶を催眠の暗示で塗り替えてきた。
餌にされた者たちが持つライラとセックスをして快楽に溺れた鮮烈な記憶だけは、紅蓮の瞳の力でも消せない。
ライラという名前や容姿の記憶は催眠の暗示ですりかえられていたとしても。

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