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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 96

吟遊詩人ディオンは、アベコウキをただの少年ではなく、導師だと思った。
ディオンは瞑想の修行を北の大山脈にある修行場に行ってしたことがある。滝に打たれたり、座禅をして何回も祈りの言葉を繰り返したりした。
修行を指導する者は導師と呼ばれている。
吟遊詩人ディオンは、アンドレスの街に七色の流れ星が落ちるのを見たので来たこと、小さな地震が発生したこと、街の雰囲気が以前とは異なるためにめまいを起こしたことをアベコウキとマリーナに相談した。
「そうか、地上ではそんなことになってたのか」
アベコウキが吟遊詩人ディオンから話を聞き終えると、うなずいてつぶやいた。
「マリーナさんは、あの流れ星と同じ感じがする」
ライラも夜空から七色の流れ星があらわれるのを感知したことを話した。
これにマリーナがうなづいてにっこりと笑った。
(命のかけらが呼びあうのをライラは感じることができた。ライラは他の守護者たちを見分けることができる)
「あー、その、大地震は起こらないはず。あと、街の雰囲気が変わったのはダンジョンができたからだと思う。地上のアンドレスの街の聖地の役割はダンジョンになったから」
アベコウキは古代エード族の石職人たちは、アンドレスを聖地にしようとしていたのではないかという見解を、吟遊詩人ディオンとライラに聞かせた。
「聖地か、なるほど。それで教会に古代の石像が残っていたり、アンドレスの街が整然としたつくりになっているということが納得できる」
吟遊詩人ディオンは僧侶メトラに面会に行って庭を見たり、広場の地下通路に展示された石像を見た。
古代の人々が信仰した神々の像とされている石像と同じ石像が、僧侶の修行場や遺跡にも残されているが、アンドレスの街にある理由が、いまいち吟遊詩人ディオンにはつかめなかったのだ。
「わからない。マリーナさんが変わったわけは?」
ライラがマリーナを見つめて言った。
(ライラはたまに鋭いことを言うんだよな。でも、女神がマリーナと合体したとか説明するのがめんどうだな)
アベコウキがどうしたものかと思って、腕を組んで考えたとき、マリーナがぽつりと言った。
「……離婚しました」
吟遊詩人ディオンが、ライラにそれ以上聞いてはいけないと小声で伝えた。宴会のときは離婚してなかった。まだ離婚してさほどたっていない。人に言いにくい事情もあるだろうとディオンは思う。
「ふれないでおくという優しさもある」
ライラは吟遊詩人ディオンにそう言われて、アベコウキの様子も見てから「大変でしたね」と言って、それ以上はマリーナの変化について質問しなかった。
バレンドルフの酒場、昼間は食堂でバレンドルの妻マノンが店で留守番と接客をしている。夜間は酒場として経営されていてバレンドルフが店に出ることもあるが、アンドレスの街で募集して雇った従業員たちに任せる日もある。
マリーナの家から出た二人は、マノンに夜に食べるための弁当を作ってもらい、瞬間移動の魔法陣のある路地に行った。
(あの趣味の悪い地下牢に行ってしまうことはないのかしら?)
ライラはそこが気になったが、アベコウキはすでに南公主イグナートの配下である西公領評議会議員サンダリオの館への瞬間移動ルートは削除済みである。

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