PiPi's World 投稿小説

奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 90
 92
の最後へ

奇跡の男と牝奴隷たち 92

くちゅ、ぬちゅ……ふっ……んんっ……。
二人の息やこもったあえぎ声と、舌が絡み合う湿った音が部屋にこぼれ落ちる。
目を細めて頬を薔薇色に染めたレギーナの唇と舌先が離れると、二人の唾液が蜘蛛の糸のようにのびて滴る。
アルベルの手をひいて、レギーナがベッドに誘導すると、体から力の抜けたアルベルがベッドの上に押し倒される。
レギーナは愛撫を続けながらアルベルの衣服を少しずつ乱して、柔肌を露出させていく。
「アルベルの肌はとってもきれい」
脇腹のあたりに指先をすべらせたレギーナが囁く。
欲情したレギーナとうぶなアルベルが愛し合っている頃、宿屋では吟遊詩人ディオンの部屋の前にライラが立っていた。手には部屋の合い鍵を持って。
合い鍵がなければ、部屋の鍵をかけたあと、扉ごと破壊したり、二階の窓からのぼって侵入しない限り誰も入れない。
いちおうノックをしてみたが、返事はない。扉も施錠されている。吟遊詩人ディオンは眠っているのかもしれないとライラは考える。
催眠状態にするには、目をさましてくれているほうが都合がいいのだが。
カチャッと小さな乾いた音がして、扉が解錠され、ライラがそっと扉を開くと吟遊詩人ディオンの部屋は窓のカーテンも閉じられ、ランプの明かりも消灯されて真っ暗で、廊下の明かりがさしこんでいる。
ライラが部屋に素早く侵入して扉を施錠した。
ライラの赤い瞳は闇の中でも見ることができる。
ベッドの上に毛布を頭までかぶって吟遊詩人ディオンは眠っているようだった。
ライラは先に衣服を脱いで床にまとめておいた。ディオンが催眠状態で欲情したとき、衣服を破られたりしないように。
全裸のライラがベッドの上の毛布をどかすと、吟遊詩人ディオンは横向き体を丸めて裸で眠っていた。
服の着た見た目は筋骨隆々という感じではないが、旅暮らしをしている体はそれなりに逞しい。
闇の中で妖しく微笑したライラが、自分の唇を小さく舐めた。
その時、ディオンが急に目をさまして慌てて上半身を起こすと、室内は真っ暗で見えないはずなのに、ライラの立つ位置に正確に顔を向けた。ディオンが身動きした瞬間にライラは目を閉じ、息を止め、身動きせず気配を闇に忍ばせたにもかかわらず。
「金なら机の上に財布がある。持っていけ」
吟遊詩人ディオンはそう言ってあくびをした。
ライラは目を開けて「見えているの?」とディオンに話しかけた。
「その声、君はライラか。女の子が夜中に部屋に無断で入ってきて、何をされても文句は言えないぞ」
ライラはディオンの目を見つめながら顔を近づけていく。
「紅蓮の瞳の妖しき輝き心奪われたる者よ、気をつけるがいい、お前が瞳を見つめるたびにお前もまた、深淵の果てから見つめられているのだ」
と言って吟遊詩人ディオンは目を閉じた。
「それも伝承の詩歌?」
「こわい古いおとぎ話さ。さて、伝承が本当か試してみるとするか」
ディオンか小声でエード族に伝えられている退魔の祈りの呪文を唱えた。呪文を唱え終えると、すぐに手をのばしてライラの体を捕まえようとした。ディオンの手がライラのほっそりとした上腕のあたりをつかんだ。
「君は何者だ?」

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す