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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 10

「では、一度譲り受けて、すぐにあの酒場を私に売ってくれ」
「えっ?」
「先に聞いておくが、神に誓って真実を述べよ。ライラという娘に手を出してはいないな?」
「もちろんです」
「わかった。では私に任せておきたまえ」
酒場の権利はエリシーヌが買い取った。
バレンドルフを連れてエリシーヌはライラの父親アーロンに会いに行った。
事件で深く傷ついた被害者にはバレンドルフだけが心の支えであることなとの事情を説明し、書面上ではバレンドルフに渡されている金を父親のアーロンと娘のライラの目の前に金貨の入った袋を並べた。
「王都にあった邸宅を処分して、私があの酒場を買うことにした。これが用意した予算だが足りないなら言ってほしい」
「足りません」
即座にきっぱりと言ったのは娘のライラだった。
(相場の五倍の金額を用意して下さっているのに、なんてことを)
父親アーロンが娘に声をかけようとしたとき、先にエリシーヌが話を続けた。
「おもしろい娘だ。バレンドルフよりも度胸があるな。では、いくらなら売る?」
「そのお金はバレンドルフ様に。その代わりに欲しいものがあります」
「なんだね、それは」
評議会メンバーの議席が欲しいとライラが言った。
「私がまだ若すぎるというのであれば、今は父のアーロンに」
「よかろう。たしかライラだったな。だが、正直あまりおもしろくはない役割だがいいのか?」
「いずれ私は公爵か公爵夫人にしていただきます。エリシーヌ様がこの街にこだわるのは、ここが拠点として最適と判断なされたからだと思っています」
娘が何を言っているのか父親アーロンには理解できなかった。バレンドルフにもわからなかった。
「ライラ、それは私と二人のときだけ話せ。今はまた、その時ではない」
ライラはテーブルの上に置かれた金貨袋の8割を右に寄せ、残り2割を半分に分けた。
8割の金貨はエリシーヌに返却。
2割の金貨をライラ親子とバレンドルフで分け合うとライラは提案した。
「父上、これでよろしいですね?」
アーロンはため息をついてからうなずいた。
(宿屋の権利も商業ギルドから奪い返してもらい、資金も手に入った。これでよしとしよう)
「バレンドルフ様、もし酒場を長く留守にすることがあれば、私たち親子におまかせを」
こうして、酒場はバレンドルフ夫婦、宿屋はライラ親子が運営者となった。
宿屋を売春宿にした高利貸しのシャリフ。
シャリフの手下で、シャリフが商人アーロンから奪った酒場を経営していたマルコフ。
この二人の兄弟は後日、東公国にて禁制品の密売容疑で捕縛され処刑されている。東公国はエリシーヌの故国である。
賭博場の豚野郎と呼ばれていたナバルは追放され、こうして評議会から商人ギルドから派遣された人物はいなくなった。
そこで、謎の人物が街に侵入しているという。どの民族かも不明。
(商人ギルドの関係者か?)
バレンドルフが書状を焼いて処分すると、僧侶メトラと兵士見習いアルベルの待つ開店前の店内にやってきた。
「お二人さん、ちゃんと食事してるか。とにかく何か食べないか、俺の妻の料理はうまいぞ」
僧侶メトラはバレンドルフがなんとなく苦手だ。
おそらくエリシーヌと共にすごしてきて、貴族だろうがあまり気にしないようになっているのだろう。
バレンドルフはナバルが持ち込んだ媚毒の香の密売ルートを調査中。
シャリフ・マルコフ兄弟が以前に持ち込みどこかに隠していたもので、まだ残っていないか探索しているところだと僧侶メトラに話した。
宿屋の女主人ライラにこの街の商人たちに協力してもらって目撃情報を提供してもらうのはどうか、とアルベルにアドバイスをした。

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