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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 9

警備隊兵士見習いのアルベルは、領主クロノバルコと直接会話を交わしたことはないが、酒場の主人バレンドルフ、宿屋の女主人ライラは街の巡回時に挨拶を交わしたり、立ち話をしたことがある。
住民代表のマリーナが誰なのかアルベルにはよくわからない。
僧侶メトラはマリーナをよく知っている。マリーナは教会へ訪れる機会が多い。
誰々の家で出産がある、誰々の子供がケガをした、誰々の家の老人が亡くなった、誰々の家で結婚したがっているカップルがいる、と僧侶の仕事依頼を花から巣へ蜜を運ぶミツバチのように運んでくる。
世話焼きの主婦らしい。
隊長エリシーヌから、酒場の主人バレンドルフに手渡す書状をあずかり、開店前の酒場に僧侶メトラと兵士見習いアルベルが向かった。
バレンドルフは警備隊を辞めてからも、エリシーヌのためにギャング排斥のために街の諜報を続けている人物である。
酒場には旅商人から街の住民まで酒好きな連中が集まってきては、噂話の雑談や商売の取引などを行っている。
黄色の肌の少年の探索以外にも、公主領からの視察の者が向かっていることを知らせる内容の書状をバレンドルフは受け取った。
かつて、まだ賭博場のように街の酒場や宿屋がギャングの手下によって運営されていた頃、エリシーヌが就任する前は、警備隊は経営者たちの用心棒だったり、手下に近い状態だった。
自警団と呼ばれていた小組織が警備隊となり人数が増えていった背景には、商業ギルドの手下たちが街の施設を建造したり、買い取ったりして発展させていった事情がある。
街が発展して住民が集まるようになり、恩恵を受けたのは領主クロノバルコであった。
慣例で住民から家一軒に対し家主に年間定額の納税を課していた。
「ならば、住民たちの代表者も評議会に加えるべきではないか」
エリシーヌは宿屋の経営者を娼婦に暴行を加えた罪で捕縛して、評議会メンバー五人のうちの一人を今の女主人ライラの父親に替えていた。
賭博場経営者と酒場経営者、エリシーヌと宿屋の主人で票が分かれた。
領主クロノバルコは商業ギルドから渡される裏金よりも儲かる住民の納税を、住民たちから拒否されては困るとエリシーヌの意見に賛同した。
バレンドルフはギャングの手下であった警備隊の頃の兵士見習いで、いつかこいつらを、と考えて耐えていた。
エリシーヌ就任によって昇進したバレンドルフは宿屋の営者を捕縛した。
商業ギルドの派遣した宿屋の経営者が、顔にも傷を負わせ、口封じに殺害しようとした娼婦は、バレンドルフの恋人だった。
娼婦殺害未遂事件の容疑者としてバレンドルフが容疑者として一度捕らえられたが、瀕死の娼婦をエリシーヌが同時期に街に呼んでいた僧侶メトラがいちかばちか徹夜で治療した。エリシーヌはメトラに賭けた。そして犯人が判明した。
エリシーヌは古株の兵士たちに娼婦が死んだと伝えて、酒場で噂を流させた。
評議会の会議中に死んだはずの娼婦がバレンドルフにつきそわれ、領主の館の会議室にあらわれたとき宿屋の経営者で金貸しの男シャリフは驚愕した。
必死に逃げようとして、エリシーヌに捕縛された。
シャリフが女性たちの親族などに金を貸し、高い利息を請求した。賭博場での負けを借金で穴埋めした結果、借金返済のためにその家族が身代わりに娼婦をさせられていた。
そのときの被害者の娼婦マノンは現在、バレンドルフの妻として酒場で元気に働いている。左頬にはうっすらとではあるがナイフで切られた傷痕が残っている。
高利貸しのシャリフの借金の返済のために酒場と宿屋を手放した商人がいた。
それが今の評議会メンバー宿屋の女主人ライラの父親である。
宿屋の権利と酒場の権利をエリシーヌは評議会で協議してライラの父親アーロンに返還した。
するとアーロンから、酒場の権利を容疑者になったバレンドルフに譲り渡したいと申請があった。
宿屋の権利だけで自分たちは充分だと言う。酒場の二階が宿屋という造りの建物ではなかった。宿屋の利用客と酒場の利用客が別目的で施設を利用している。同時経営は難しい。シャリフが宿屋を売春宿にしてしまったが、その印象を払拭するには時間も手間もかかる、と言うのであった。
バレンドルフは初めはこれを辞退した。
実際は商人の娘ライラがバレンドルフに惚れていて娘の願いで酒場を未来の婿に譲るつもりだという事情があったからである。
「二人の女から惚れられた色男、どうする?」
「どうするもなにも、隊長、俺はマノンのことを愛していますから」

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