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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 90

王立神聖教団の教会には巡礼者たちの宿泊できる部屋が用意されている。巡礼者ではないが、教会には騎士団からの視察で街に来ている二人の女騎士が宿泊している。
「いや、どうも教会は苦手で」
巡礼者たちと教会に泊まると一緒に朝から礼拝に誘われたり、神聖教団の教義を聞かされたり、と吟遊詩人ディオンは信者てはないので、正直なところはわずらわしいと思うことがある。
騎士団の騎士には、巡礼者たちや僧侶たちは仲間意識がある。騎士団は同じ王立の組織、という認識があるからである。
<大鴉亭>に吟遊詩人ディオンがやって来た。
「お父さん、お客様連れてきた」
初老の商人アーロンがライラが若い男を連れてきたので、内心では驚きながらも、吟遊詩人ディオンにおだやかな表情で「アンドレスの街へようこそ」と握手を交わした。
ライラは書斎に戻ると、椅子に座って目を閉じて毛玉を撫でていた。
夜になると<自由の広場>の警備の仕事から帰ってきたバレンドルフが、妻マノンから吟遊詩人ディオンがアンドレスの街に来ていると聞いて<大鴉亭>を訪れた。
<自由の広場>に街の住人以外にも展示物の噂を聞いた商人たちが訪れていた。
アンドレスの街にも来訪者が増えている。
ルミエールは警備隊の人員だけでなく、騎士団の二人の騎士やバレンドルフに協力を要請して対応している。
吟遊詩人ディオンに、バレンドルフの妻マノンから頼まれた夜食がわりのサンドイッチが手渡された。
「わざわざ届けに来てくれたのか、悪いな」
「他の客には届けたりはしないさ」
街の雰囲気が変わった気がしないかとバレンドルフに吟遊詩人ディオンは質問してみた。街への来訪者が増えたせいだろうとバレンドルフが答えた。
(バレンドルフは気づいてないな)
「ディオンはもしかして、僧侶メトラに会いに来たのか?」
「まあ、会っておいてもいいかもしれないが……」
バレンドルフは、吟遊詩人ディオンは僧侶メトラに惚れていると思っている。
僧侶メトラが七色の流れ星が街に落ちるのを見たのなら、吟遊詩人ディオンとしてはその見解を聞いてみたいところではある。
バレンドルフも、ルミエールから依頼されアベコウキがダンジョンを作成したことを知らない。
「何か手伝いが必要ならいつでも声をかけてくれ」
とバレンドルフは吟遊詩人ディオンを兄のように慕っているので、そう言って酒場に帰っていった。
ルミエールはダンジョンを確認して、アベコウキとマリーナと一緒に帰ってきた。僧侶メトラは広場の教会で一泊して戻ることにした。
この日、教会へ僧侶メトラを吟遊詩人ディオンが訪ねていても会えなかった。
ライラが寝室の窓から満月を見つめている。吟遊詩人ディオンが絶品の餌だと本能が疼く。
ライラは人間に快楽を与え、生気を搾り取ることで生きてきた魔物の女である。
アベコウキが召喚魔法で作成したヤシの木の実のようなものから孵った毛玉が生気の補充をしてくれるので、人間から生気を奪う必要がなくなった。
必要はなくなったが、吟遊詩人ディオンのような魔力を感じとれるような上質の餌がそばにいると、魔物の本能がうずうずと胸の奥底に渦巻く。
ルミエールやバレンドルフもそれなりに上質の餌としてライラの本能に反応するが、吟遊詩人ディオンはさらにめずらしい上質な餌の資質を持っていた。
人間を催眠にかかった状態にして、男性には好きなように体を使わせて精を搾り取る、女性からは目立たないところから吸血する。
満月を見つめるライラの瞳が、魔族の証の鮮やかな紅き瞳に変化している。

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