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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 87

魔力が具現化されて光として見えるほどに強い状態になっていたとは、ライラにもわかっていない。その魔力の塊には意識があった。今はアンドレスの元主婦マリーナに融合している。マリーナは主婦ではなく、元主婦になった。夫の旅商人ジョエルを激怒したマリーナが、家から追い出したからである。離婚の原因であるジョエルの愛人コレットは、マリーナのことを心から怯えきって、もう二度とアンドレスの街には近づかない、と決めた。
人間ではないライラと毛玉にとって街に魔力が満ちているので、とても快適である。
吟遊詩人ディオンは、落ちた七色の光を放つ異様な流れ星を自分以外にも見た人がいないか、アンドレスの街で噂話を聞き込みに来たのだが、街に魔力が満ちているとは思っていなかった。
気絶した酔っぱらいの男以外では、ライラだけが街で七色の光が上空の時空の裂け目から降りてくるのを見ていた。
ライラは上空で時空の裂け目が発生したのを察知した。急いで窓を開き、ライラは夜空を見つめた。
七色の光が酒場と大通りのあいだにある裏路地あたりに落ちたので、ライラは宿屋から走って裏路地に行ってみたが、酔っぱらいの中年男が眠りこけているだけで、七色の光は消えていた。
その夜、ライラは酔っぱらいのことは放置して宿屋に戻ったのだが、街に魔力が満ち始めて、ざわついているような気配を感じた。微弱な地震。
女神ラーダが降臨して、地底の魔力の塊に近づいたので、地底で魔力の塊が反応していたのである。地底の魔力の塊と融合していれば、アンドレスの街は大地震に襲われるはずだった。
地震の揺れが激しくなり、アンドレスの街の建物は瓦礫と化してしまう。その廃墟の地面が裂け、竜の吐く魔力の炎が噴き出す。
その大破壊の前兆となる微弱な地震はこの夜、アンドレスの街でたしかに発生した。
吟遊詩人ディオンは、街に満ちている魔力を、地面が揺れているような、強いめまいとして感じた。
アベコウキが、七色の光として具現化した人型の魔力の塊を捕獲したので、地底の魔力の塊と融合せずに大地震と竜の吐く炎による破壊がアンドレスの街を襲うことはなかった。
地底の魔力の塊から、アベコウキの作成したダンジョンが、街に魔力を引き出し続けている。
「あの光、君は何だと思う?」
「わからない」
吟遊詩人ディオンとライラが、昼間は食堂のバレンドルフの酒場で食事をしながら情報交換している。
「北天の不動星の隣より現れし七色の星、街に落つ。街は紅蓮の炎の中に滅びけり。そんな伝承の歌がある」
「その流れ星、誰が見たの?」
「街から離れた崖の上にあった神殿の神官だろう。その神殿の石柱が残っていた。あと、街があったと推測できる場所は、オアシスになっていた。水が湧き出したって考えると、あの七色の流れ星は、地震の前兆だと俺は思う」

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