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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 81

ジョエルは旅を一緒にしたいとついて来て、自分のことを好きだと言うコレットを純情な村娘だと思い込んだ。
コレットは村娘たちからは、雑貨屋デリックのお気に入りで、コレットから嫌われたらデリックに相手にされなくなるので、機嫌を取っておかなくてはならないので、かなり嫌われていた。
純情な村娘などではない。
コレットは腹の中の子が雑貨屋のデリックの子か、旅商人ジョエルの子か、どちらでもかまわないと思っている。自分とこれから産まれてくる子が、生活に困らなければいい、ということが最優先なのであった。
女の直感で、マリーナとラーダのどちらの心も、愛人コレットが女であることを餌に男の愛情を利用して生きるしたたかな者だと察している。
旅商人ジョエルは、マリーナの父親が旅商人だったのだが、亡くなる前にアンドレスの街にいる愛人に産ませた娘のことが気がかりだと聞いて、婚約を申し込んだ。
マリーナの母親はマリーナが十五歳の時に僧侶でも治療できない病で亡くなっている。マリーナは母親とずっと二人で暮らしていた。
マリーナの父親の男からの遺言で、ジョエルが婚約者として訪れたことを聞いて、マリーナは結婚することにした。
母親から父親とは別れたことや、そのあとも生活に困らないように家や財産を分けたこと、いずれ父親の選んだ婚約者がやってくると聞かされていたからである。
親が子の婚約者を決めるのは貴族の慣例で、マリーナの両親は元貴族階級だったが、親たちの資産を処分して、それを資金にして商人になった者たちであった。
純情という意味ではマリーナのほうが純情であった。親の決めた婚約者のジョエルがあらわれるまで、処女であった。
母親が言ったことを信じて、父親と再会する日を信じて待っていたが、父親は母親よりかなり歳上で亡くなったとジョエルから聞いてマリーナは泣いた。
マリーナは父親に、母親には内緒で会ったことがある。
その時、父親に手をひかれて、街の市場で旅芸人たちを見た記憶が、マリーナにとって父親の愛情の記憶なのだった。
結婚したが、夫のジョエルはマリーナの母親が残していた財産も使って商売の範囲を拡大したので、一年に十日ほどしか旅に出て帰らなかった。
「子がいるので命までは奪わぬ。二人とも私の前に姿を見せるな!!」
マリーナのひたいにカッと見開く眼があらわれた。
体を七色の光がつつんでいる。
「ひっ!」
愛人コレットが短い悲鳴を上げた。
コレットの頭部を左手でつかみ、ジョエルを右手でまっすぐ指さしてマリーナが叫んだ。
愛人コレットはマリーナを追い出して、アンドレスの街で暮らそうと狙っていたのだが、その思惑は、マリーナとマリーナに融合した女神ラーダの怒りの表情の前に砕け散った。
旅商人ジョエルと愛人のコレットが泣きながら走って家から逃げ出していった。
(これでびびってたら、とても一緒には暮らせないけどな)
アベコウキがマリーナの怒りを落ちつかせるために抱きしめている。
ダンジョンをアジトにして、アベコウキはマリーナの夫が激怒したら逃げ込むつもりだったのだが、マリーナの夫の旅商人ジョエルが愛人コレットを連れ帰ったことで、マリーナが激怒したので、アベコウキは家から逃げ出さないで済んだ。
「つ、妻が化け物に……」
愛人コレットはえぐえぐと旅商人ジョエルの隣で泣いている。旅商人ジョエルはひどく青ざめていた。
警備隊屯所に逃げ込んだ二人を対応したのは、騎士団の二人、マルセリナとルシアであった。
(アベコウキが、マリーナ女史と街の住人を驚かせているのか?)
マルセリナとルシアは、幻覚を見せる魔法があることを知っている。話をよく聞いてみると「化け物」の姿は、酔っぱらいが見たという「光に包まれた女」と類似している。
とりあえず調書を作っているふりをしてマルセリナが、怯えきった二人を屯所から荷馬車を停車してある宿屋の裏手までつき添っていくことになった。
魔法の使用許可を騎士団の責任で評議会メンバーのライラとマリーナ、そしてアベコウキに許可を出しているが、子供のイタズラに魔法を使われては困ると騎士の赤髪のルシアは眉をしかめた。
翌日、アベコウキと評議会メンバーのマリーナが、隊長ルミエールに面会を申し入れてきた。ダンジョン作成の報告のためである。
(ちょうどいい、なんで街の住人を驚かせたのか聞き出してみるか)
赤髪のルシアがアベコウキとマリーナが待つ女子寮の休憩スペースにやってきた。

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