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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 8

だから、今、謎の人物をこの街の兵士全員で捜索しておいたほうが、無難かもしれませんよ」
エリシーヌに僧侶メトラが大陸の歴史をかいつまんで説明しつつ提案した。
(領主クロノバルコには知らせるべきか)
エリシーヌが想像できるのは、領主クロノバルコが謎の人物が異界の使者か、はたまた滅びたと思われてきた南方の民族の末裔であれ、完全には治療ができないと思われていた媚毒の香の犠牲者全員を治癒した実績があると、西方の老公主ダルアに報告する書状をしたためる可能性が高い。
すると老公主ダルアまで書状が届く前に、評議会のメンバーが動き出すだろう。
この街の評議会メンバーは領主クロノバルコ、国王の勅命により派遣された警備隊長のエリシーヌ、市場広場の商人たちをまとめている宿屋の女主人ライラ、繁華街は以前は賭博場の経営者がメンバーだったが追放され、今は酒場の主人で元警備隊の経歴を持つバレンドルフ、住民代表の主婦マリーナの五人である。これは他の評議会とくらべると異例の顔ぶれである。
西方の公主ダルアの領域の評議会メンバーは全員商人である。顔ぶれは数年おきに変わるが、ひとつの派閥で仕切られている。
「領主以外の評議会メンバーに動いてもらえないか相談してみるとしよう」
酒場の主人バレンドルフにだけ探索を依頼することもできるが、自分たちには相談もないと宿屋の女主人ライラや主婦のマリーナの機嫌をそこねると後で困ることになる。
評議会メンバー五名の投票で決議される。
エリシーヌが懸案した案件を評議会で審議するときにライラとマリーナの二票は影響力が強い。
異界以外の大陸全域で商業ギルドは金を流通させているために強い権限を人を使い握っている。それを排斥することができた街はこの街だけである。
以前に僧侶メトラも評議会メンバーに加えたいとエリシーヌは考えて誘ってはみたが、メトラはこれを辞退した。
他の街の評議会メンバー数は十名以上であり、王都の宮廷議会ではさらに議席が増える。
この街の五名の評議会は人数としては少ない。
それはそれぞれの人物が政治的に重要な意味を持つことになる。議席が多いほど権限も少ないが、責任も背負っていない。
豚野郎ナバルのミスは、他の街であればギャングによる暴力で住民に手を出そうと、うまく丸めこめたり隠蔽できたかもしれないが、住民が評議会メンバーで直接加わっているこの街では、ギャングの掟は通用しなかったことにある。

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