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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 65

「お店の人たちが、もうひとつのアンドレスの街にいて食材があればお料理してくれるかもね」
そんな話をしているうちに街からの幌馬車が到着して、警備隊の兵士がマリーナに挨拶した。
「マリーナさん、おはようございます。昨夜はこちらでお泊まりでしたか、大変ですね」
朝に出発した三台の幌馬車で、客たちを乗せてきた警備隊の兵士たちはマリーナへ挨拶したあと、僧侶が泊まりこんている教会や幌馬車暮らしの商人たちの店などに、それぞれ散らばって挨拶まわりをしていた。
マリーナも同じように「今日もよろしくお願いします」と挨拶にまわった。
そのあいだに、アベコウキはダンジョンの住宅の家具や収納スペースについて、広場に置かれた椅子に座って足をぶらぶらさせ、テーブルにひじをついて考えていた。
(もっと驚くと思ってたんだけどなぁ)
自分が思っていた以上にダンジョンの住宅が暮らしにくいとマリーナに指摘されて、アベコウキはちょっとへこんだ。
ぶらぶらと開店準備中の商人たちの暮らしている幌馬車に近づいて、こっそりのぞいてみた。
木箱が三つ並べて置かれていて、脇から物が取り出せるように切り取られていた。その木箱の上をベッドがわりにしているようで、毛布がたたんで乗せられていた。
(木箱って丈夫なんだな、座れば椅子にもなるし)
幌馬車の荷台も、なかなか上手に使われていて暮らしやすい感じの場所に見えてくる。
マリーナに帰りの荷馬車に乗るころを聞いて、アベコウキは「あとで迎えにくるから、一緒に帰ろう」と言った。
アベコウキは<自由の広場>からアンドレスの街の瞬間移動の魔法陣も追加しておいたのだ。
アンドレスの街からはダンジョンにしか行けない。
ダンジョンからは<自由の広場>にしか行けない。
<自由の広場>からは、アンドレスの街にしか行けない。
ダンジョンの配置によって発動した力でアベコウキは<自由の広場>とアンドレスの街をつないだ。
せいぜい<自由の広場>からアンドレスの街の瞬間移動は一度に五人までが移動人数の限界である。
真上のアンドレスの街からダンジョンへの移動は、その十倍の五十人を移動できる力がある。上下で近いためか原型が似ているからか、そこは不明なのだが<自由の広場>に流用できる力は限られている。
アベコウキが呪文を小声で唱えて<自由の広場>からマリーナの目の前で姿を消した。
魔法を発動させるための呪文ではなく、常時発動している魔法の効果を受けるための合図のような役目としての呪文である。
呪文を唱えた人と手をつないでいれば、一緒にアンドレスの街に瞬間移動で移動できる。
何も仕掛けがないと、誰かが瞬間移動するたびに関係ない人も巻き込まれて移動してしまったというのは迷惑な話だからだ。
夕方にマリーナを迎えに行く頃まで、ダンジョン一階の住宅をアベコウキは改造していた。
ただしその見た目は、マリーナの家のリビングのソファーにもたれて目を閉じてくつろいでいるようにしか見えない。
おまけでアベコウキは住宅には侵入しない、お掃除用のスライムを三匹ほど通路に巡回させてみた。
料理で出た生ゴミでも髪の毛でも数秒で吸収してくれて臭いもない。
ふれるとすべすべで弾力があり、なでるとたまに小さくぴょんぴょんと跳ねたりもする。移動速度は人が歩くよりも遅い。大きさは通路の半分ほどの幅で高さは大人の膝ぐらい。

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