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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 64

(城壁の建造のあとアンドレスの街に建造するつもりで、この石造りの家を昔の職人たちは造ったんだな、きっと。水の魔法の仕掛けの大通りだけは支配者に必要だと説得して建造できた。でも建物の統一までは説得できずに妥協したって感じか)
建物を一定の間隔をあけて、均等に大通りに並べてみて、アベコウキは気がついた。
ダンジョンそのものが魔法陣を形成している。
アンドレスの街は未完成だったことを。
(これはおもしろいぞ、移動用の魔法陣も、水の仕掛けも、自分で魔力を供給しないで発動できる)
アベコウキが自分のMPの消費だけで、ダンジョンを作成して、その全ての魔法の仕掛けを発動していたことも、また驚異的なのだが。
エード族の魔法技術を継承していた石の職人たちはアンドレスの街を、自分たちの新たなる故郷として作り上げようとしていた。
城壁を作り上げ、大通りと水を供給する仕掛けも完成させた。
さらに他の街へとつながる瞬間移動の仕掛けや、全ての魔法の仕掛けを発動させ続けるための動力となる力の召喚に着手したころ、王国の騎士により職人たちを捕らえられ、のちに王都にて処刑された。裁いたのは王立神聖教団で、記録では反逆罪とされている。
実際は当時の王から高い技術力を警戒されて。
その歴史をアベコウキは知らない。
マリーナは<自由の広場>の発案者で責任者として、開設初日から10日ほど毎日<自由の広場>へ通っていた。
家の留守番はアベコウキに任せていた。
「<自由の広場>に幌馬車じゃなくても行ける近道があるんだけど」
と夜のベッドで言われ、翌日の朝、アベコウキに連れられてダンジョンに行った。
アベコウキはルミエールに報告する前に、マリーナにダンジョン一階を見せてみた。
「コウくん、ここはどこ?」
「アンドレスの街だよ。でも、地面のずっと下だけどね」
中央の広場全体を使い、敷石に刻まれた魔法陣の上に二人は立っている。
ルミエールから緊急時の避難場所を作ってほしいと言われたことをマリーナに説明しながら一番近くの住宅に案内した。廃村にあった石造りの家と似ているのにマリーナはすぐ気がついた。
「すごい、水も出てる。これ<自由の広場>のほうにもできない?」
「ちょっと無理かも。でも、こっちは井戸がないからね」
「そっか、残念。テーブルとか椅子はないの?」
「うん、まだないんだ」
(なるほどね。テーブルと椅子がないと不便だな)
「ここでどのくらい暮らすかわからないけど、洋服とか、食べ物とか、収納できるところがあるといいかも。床に全部置いたら、散らかってしまうもの」
「うん」
そのあと、ダンジョンの端っこの泉で水が昇るのをマリーナは見てうっとりとしていた。
「光が水にあたって、きらきらして素敵ね」
中央の魔法陣から<自由の広場>に二人が姿をあらわしたとき、まだ朝に街から出た荷馬車は到着していなかった。
自分の幌馬車を持っていて、そこで暮らしている商人たちは、すでに広場の店の開店準備を始めていた。

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