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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 63

空気の確保と閉塞感は解決したが、次は街で暮らしているのと同じように水が飲めたり、入浴できるようにしたいとアベコウキは考えた。
かつてアジトの高層の塔で水を得るのは、なかなかやっかいな問題だった。雨が降ったら屋上と最上階に蓄積して、排水は塔から下の森へ塔の床下を通した小通路から塔の外壁に開けた排水穴から、地上の森に降らせる予定だった。
しかし、雨量が時期によって差があったので雨水だけを水源として使うことが実際にはできなかったのだった。
水の浄化は、僧侶たちが習得する初級の魔法で、これは河川の水や湖の水などを容器に入れ、容器に浄化の魔法をかけておき飲み水にも、傷を洗うのにも使える水を確保するものである。
この魔法技術を悪用して、媚薬の粘液も作られているのだが。水の浄化に失敗するように、容器に細工をしておく。さらに入れる水にいくつかの触媒を混入しておくことで作ることができる。
(アンドレスの街で使用されている水はどこから来て、排水はどこに行っているのかな?)
アンドレスの街には地下水脈が流れていて、その水を街が浄化して汲み上げている。さらに排水は浄化して地下水脈に帰している。
その魔法を発動させるために正方形の外壁や規則正しく街のいくつかの路地を縦横に走らせている。
砂漠化で水に困ったエード族の職人たちは、城壁で支配者の命を外敵から防衛することよりも、まず街で暮らす自分たちの生きるための飲み水を確保する仕掛けをひそかに作り出したのだった。
魔法の瞬間移動の仕掛けよりも、アベコウキはこの仕掛けに感動した。
外壁の配置は地上のアンドレスの街と同じなので、浄化、汲み上げ、排出がダンジョンでも可能なように通路を配置した。壁とはちがう色の床石を並べて通路とした。
地上のアンドレスの街とダンジョンの間にある地下水脈から、これで水をダンジョン一階で使用することが可能になった。
地下水脈から水を天井まで少しずつ下ろしてためる結界の箱をダンジョンの天井の上にいくつか埋めこんだ。ここで浄化した水をダンジョンでは使える。
排水は床石の下でやはり結界の箱を埋め浄化して結界まで汲み上げる仕掛けにした。
アベコウキはダンジョンの四つの隅を広場にして、広場の中央に天井の上の結界まで噴水が上がる泉を作った。
一日のうち、たまに数回、浄化された水が昇るのを見ることができる。
昇る水に手をふれても大丈夫な勢いなのは、初めは勢いが強すぎて轟音が鳴り響き、音は空気の振動の衝撃波として、アベコウキをぶっ飛ばしたことから調整された。
ダンジョンの外壁が衝撃にもびくともしなかったのでよかったが、外壁が壊れていたらアベコウキは生き埋めになっていたはずである。
天井の上の結界で作られた箱が水量が満水が近づくと、見える空が曇り空になる。
曇り空の間は地下水脈からの供給は停止。貯水した水と浄化した排水でしばらくダンジョン内の水をまかなうことになる。
天井の上の水の部屋から少しずつ水を常時戻す仕組みも作った。これは水脈から水を使うだけで地下水脈が枯れてしまったら困るからである。
地上のアンドレスの街も、地下水脈が干上がるのを防ぐために排水を地下水脈に戻していた。オアシスでさえも、ただ使い続けていれば、地下水脈が干上がるのを経験した民族の知恵にアベコウキもあやかることにした。
外気の転送と地下水脈の水の活用でダンジョン内の温度と湿度は一定に調整された。
(よしよし、かなり快適になったぞ)
ダンジョン内に土がないため植物の育成はできないが、植物が根をのばしダンジョンの外壁や床石を破壊してしまうこともあるので、これはあきらめた。
広場の五ヶ所。四隅に噴水、中央に瞬間移動の魔法陣。
中央の魔法陣から縦横に赤い煉瓦のような敷石の大通りがある。それらは水の仕掛けを支えている重要な仕掛けと連動している。
(さてと、残りの空き地にみんなの家を作るかな)
<自由の広場>にある古い丈夫な石造りの家。
その形は正方形で、同じ形のダンジョンに配置するのに適している。

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