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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 62

旅商人のマリーナの夫が激怒して追いかけてきても逃げ切れるダンジョンにしようと、アベコウキは考慮した。
アンドレスの街にある魔法の瞬間移動の仕掛けを再利用することにした。そのため地上の街からダンジョンまでは問題ないが、ダンジョンから地上のアンドレスの街に帰ると代償でMPやHPをごっそり奪われる。
その対策として、ダンジョン一階からの出口はアンドレスの街ではない<自由の広場>にした。
街の城壁の基礎が深く埋まっているので、地下一階は城壁の基礎の位置を外壁の位置とした。
アンドレスの街と同じ広さの床面積がある箱のような結界を埋め込み作られた巨大な部屋である。
アンドレスの街は城塞都市なのだが、完全に正方形の城壁に街ごと囲まれている。完全な正方形に城壁を建造した職人たちの技術力が高いことがよくわかる。
街の建物よりも城壁が先に建造されたのだろう。地形や周辺の状況が整っていなければ正方形の城壁の建造は難しい。また、建造中に中断があり、増築していくように城壁を建造した場合も正方形にするのは難しい。
結界を埋め込み、そこにあった土壌を上下左右に圧縮して硬化させる。地面を掘って土を地上に積み上げるのは、かなりの重労働で時間がかかる。さらにアンドレスの街の真下が何もない状態だと深い位置に結界で作った空間があっても、街ごと沈むように落ちてきてしまう。
鉱山で山の奥深くに目的の鉱脈があり、そこまで単純に土を掘り抜いて地下道を作ると、途中で地下道が崩れてふさがってしまったり、生き埋めになってしまうことがある。
地中には水脈もあり、水をふくむ土の強度は、岩盤が埋まっている土よりもかなり弱くなっている。また、水に含まれる鉄分が酸化するとき酸素を奪うため、水の染み出る地下道では酸欠になる危険もある。
そのため坑道を作る魔法は、結界でそこにあった土を周辺に硬化させて水漏れさせないようにする。
地上と山の奥の地下が出入口がつながっていれば、坑道に風として外気が吹き込んでくれる。しかし、曲がりくねった坑道の途中のくぼみなどでは、周囲の硬化がされていなければ、空気よりも重い有毒な気体が漏れてきてたまってしまうことがある。
<自由の広場>にある地下通路はこの土を硬化させて、通路内を塗りかためてあり、人が通行しやすいように四角の管を入れたような巧みな職人たちの腕が感じられる。アベコウキはそのため罠があるかと思い警戒しまくっていたのである。
その結界を地下に埋めこむ魔法で、アンドレスの街の真下の地中深くに空間を作った。これで、街が上から落ちてくる心配はない。
坑道と異なるのは出入口を魔法陣で作成したため、空気が供給されない、密閉された箱が地中に埋まっている状態になったことである。
かつてアジトとして作った六十階ある高層の塔の上層階では、空気が薄くなってしまう失敗を経験したアベコウキは、ダンジョンには空気が必要だとわかっていた。
さらに、周囲が空ばかりで風景を見飽きてしまうことも経験済みなために、ダンジョンではこれらの問題点を改善することにした。
地下一階の巨大な正方形の部屋の天井部分には空が広がっているように見える。これは照明がわりでもあり、閉塞感をできるだけまぎらわそうとして作った仕掛けである。
さらに地上に帰ったときに時差のずれを減らすことにも役立つ。
天井に巨大で精密で時間によって変化する空は、光を地下一階に降らせるだけではなく、実際に空中から空気を地下一階に供給してバランスを保ちながら入れ変えてくれる。天井に魔法陣を描き、アンドレスの街の上空とつないであり、ダンジョンに空気だけを入れているのだった。雨漏りしたり、鳥がまちがってダンジョンにつながる空中の結界に取り込まれないように注意した。
ダンジョン内の天井と壁と床がつながっていて、ダンジョンにいると空を見ているように感じるという仕掛けである。
これは僧侶メトラの展示品、ふれると星空が広がっているのが見えると感じる石板の魔法技術の応用であった。

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