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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 59

のちに元北領諜報員レギーナが警備隊で初の警備隊兵長として任命され、兵士アルベルがその補佐官となった。
警備隊は兵士長をリーダーとして五人で隊を編成する。これはルミエールが就任して新たに導入された隊規である。
アンドレスの街にある魔法の仕掛けが使われなくなった理由は、とても単純な話だった。
ライラはMPを大量消費し、レギーナはHPを大量に奪われることでアンドレスの街に帰還した。
帰ってくるときのダメージが大きすぎる。
ライラが教会から無断で拝借してきた石板は砕け散ってしまった。それは僧侶メトラが何年もかかり収集している石板のひとつだったのだが……。
魔力を大量に貯めてあった宝物級の貴重品が、人が一人送り出すだけでがらくたになる。
帰還にはMPなりHPなりが奪われる。
貴重品を移動させる人数分だけ用意するだけでも難しい。たとえば、五人で任務にあたる小隊を瞬間移動させるのに、どれたけの量の貴重品が失われるのか。さらに帰還したら、全員瀕死ということもありえる。
たしかに高度な魔法技術が使われているが、実用性としては問題ありだったからである。
「一番近くの移動先が、たぶんレギーナさんが拷問された牢屋のあるところだったんじゃないかな?」
アベコウキとルミエールが、午後の人がいない時間の女子寮の一階の休憩所で話をしている。
ルミエールの執務室ではないのは、アベコウキが女子寮がいいと希望したからである。
「西公領のサンダリオという評議会議員に監禁されたらしい。レギーナが望むならヴァイナモ公のもとへ帰すつもりだが、今のところ北公領から王立神聖教団や騎士団に捜索の依頼はされていないようだ」
(使い捨てってわけか、ひでぇ話だ)
「ところで、地下通路を作ることができるとライラから聞いたのだが、このアンドレスの街の地下に作れるか?」
「でも、どうして作るの?」
「街で戦闘になったとき、街の住人が避難できる場所がほしい」
「そうなると<自由の広場>の地下通路より広く作らないと。あと、街の外に出られるようにしておく必要もあるよね」
「そうだ。できそうか?」
「<自由の広場>の地下通路と、街の地下に作る地下通路をつなげてもいい?」
「ああ、かまわない。何か必要なものはあるか?」
「んー、今のところないかな」
「このアンドレスの街からライラが評議会議員サンダリオの館に行ったのだ。アンドレスの街に侵入してくる者がいることもありえるということだ」
(たしかに、こっちに来るだけで帰る気がなければ、代償のダメージは受けずにすむからな)
ルミエールの密命を受けてアベコウキは趣味で、アンドレスの街に地下ダンジョンを作ることにした。
「……ねえ、ルミエールさん、誰も来ないね」
「任務中だからな。日が暮れる頃にはメラニーが食事を作りに来るが」
警備隊の兵士たちの昼食は、バレンドルフの酒場に立ち寄って食べる者が多い。あと市場通りの露店で手軽に済ます者もいる。だから、午後の女子寮の休憩所には人がいない。
「なんだ、私では不満か?」
「また来ます」
「よろしい」
ルミエールが微笑して、アベコウキの頭を撫でた。
(メラニーって人は美人かな。警備隊は美人が多いからなぁ。今度は来たら、ルミエールさんに寮の夕食をごちそうしてもらおう)
アベコウキはそう思いながら、マリーナの家にのんびり歩いて帰ってきた。

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