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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 58

寝起きであくびをしながら、アベコウキが言った。
「そう、魔法で作ることはできる?」
「できるけど……」
「けど、なに?」
「罠もなかった。何かを隠してあるわけでもない。何のために作られたのか、意味がわからないよ」
「できるのね」
アベコウキがうなずいて、目をこする。
「鉱山を掘るときに使う魔法がある。それを使ったんだと思うよ」
「鉱山?」
古い伝承の叙事詩に、美しい巫女と赤い髪の戦士が恋に落ち錫杖と剣を並べて眠った、とある。
(美しい巫女が西域のエード族の女性で赤い髪の戦士が北方のカルーム族の男性だとすると……)
「なるほど、わかった」
ライラがすぐにマリーナの家から帰っていった。
広場開設の早朝、ライラは魔法発動地点で夜明けを待ち、朝の光の中から姿を消した。
暗く湿った地下通路で、牢の鍵を持った館の侍女は、ライラから鍵を奪われた。諜報員レギーナは牢から救出され、アンドレスの街にライラが帰還した。
宿屋の寝室に戻って宴会の三時間前まで眠った。MP消費が激しく、ライラと毛玉は疲れていた。
諜報員レギーナの移動分の代償であった。
目をさましたライラは警備隊屯所にむかった。ルミエールは広場からひとあし先にアンドレスの街に戻っていた。
警備隊屯所の兵士たちの寮。
ひとつの部屋を二人で使う。レギーナと同室になったのは警備隊兵士のアルベルであった。二段ベッドの上はレギーナ、下をアルベルが使った。
アルベルは朝早く部屋をそっと出ると、寮の一階の厨房ですでに朝食の準備を始めている「メラニーおばさん」に挨拶した。
「おばさん、手伝うことありますか?」
「あらあら、アルベルさん。もう見習いじゃなくなったんだから、あっちでのんびりして待ってて下さいな。もうすぐスープができるからね」
アルベルはメラニーと大鍋のスープをかき回す作業をかわった。
「なんか朝、おばさんと朝食を作らないと変な感じで落ち着かないの」
警備隊兵士たちの寮の一階は休憩所と厨房がある。
二階と三階の部屋に警備隊の女性兵士たちが暮らしている。男性の兵士たちは別の建物で、こちらは女子寮となっている。
「ルミエール様もね、そうやって朝、スープをかき回してくれていたことがありましたよ。私より先に味見なさってましたけどね」
「ルミエール様も寮にいたんですか?」
「みんながどうやって暮らしているか知らない隊長の命令なんて誰も従うはずがないっておっしゃってましたよ。でも、逆にみんなで、気を使ってしまってねぇ」
三ヶ月後に屯所内に執務室などがある建物が完成するとルミエールはそこに移ったという話をアルベルは聞いた。
「レギーナさん、おはようございます。あっ、すいません、起こしちゃいましたか?」
「んー、いい匂い。おなかが空いて起きただけだから、気にしないで。メラニーさん、おはようございます」
「はい、おはよう。私のことはおばさんでいいからね。もうすぐできますよ」

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