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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 46

もうひとつ、王立神聖教団だけではなく騎士団も南公領に支部がないのも、大きな特徴である。
南公領は王国の連合国となる以前に皇帝を頂点とする大国として統一されていた。
他の公領がいくつもの小国に分かれていたのが合併したり滅亡したりしながら、少しずつまとめられていった時代には、すでにひとつの帝国だった。
元帝国軍は王国の騎士団と同じ役割を持つ組織として存続しているため、騎士団が進出する余地が残っていなかったのである。
まだ王国が連合国家として樹立される前の時代。
国を追放されたり、逃げた者たちは、南方の地に流民としてたどりついた。流民たちは帝国に受け入れられた。奴隷の身分を与えられて。
北方、東方、西方、中央の各支配者が連合国として同盟し、帝国と国境をめぐって戦が起きたが、これはおよそ十年の膠着状態で、一進一退を繰り返したといわれている。その後、南の帝国は降伏ではなく同盟というかたちで国境をめぐる戦は終結した。
こうした特徴や歴史を持つ大陸南方の地域と西域のアンドレスの街が、廃墟の小村に残された小規模なダンジョンによって解明された街の秘密によってつながりを持つことになるとは、誰も想定していなかった。
大陸南公領では奴隷市場が存在している。
首都の港街カルーバと他の三つの街に暮らす者や船乗りは市民階級であり、内陸部で農作物を栽培している者たちは奴隷階級である。
支配者への反逆の意識を反らすために、厳しい身分制度によって民衆を支配していた。
市民は公主に逆らえば身分を剥奪されて奴隷とされる。「奴隷は人ではない家畜である」という法により、市民は奴隷の男たちを働かせ、また、奴隷の身分の女性たちを媚薬を使用して性欲処理の道具として慰みものにしていた。
商人の国といえば聞こえはいいが、公主イグナートだけが特別な存在で、商人は市民であり、商人ではないものは市民階級ではなく奴隷階級なのだった。
商業ギルドには南方出身者がいて、闇商人として王国の法律よりも、今も帝国の血の掟に従って行動しているのである。
西公主の側近である評議会メンバーは、南公領から派遣された闇商人たちであった。
西公領主ダルア公は老いてもなお邸宅で媚薬漬けの愛人たちを与えられて享楽に耽る日々を堪能して暮らしており、闇商人たちの評議会が政治の実権を裏では握っている。
媚薬漬けの愛人たちはどこから来たのか。
はるか南方の奴隷市場から運ばれて来た、というわけではない。王国の法では、媚薬も奴隷売買も禁じられているからである。
寒気がするような法が支配している南公領とくらべて、アンドレスの街はのどかである。
マリーナは荷馬車で三時間ほどの距離にある廃村に家族づれや恋人たちが遊びに行ける施設を作る計画を、評議会の会議で発表した。
「その施設は利益が出るのかね?」
領主クロコバルコが咳払いをしてから、しわがれた声でマリーナに質問した。
地下通路に照明を配置して、そこに街の人が描いた絵画やこの街の教会の庭に野ざらしになっている彫像などを配置する。彫像は野ざらしになっているよりも劣化しないはずである。

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