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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 44

通路の途中で、バレンドルフと騎士の二人が追いついた。
「バレンドルフ、ここには何もない」
ルシアが勝手に離れた三人に注意しようとすると、ライラがパッと片手を上げて言葉を発するタイミングをそらし、バレンドルフに言った。
「それはどういう意味ですか?」
「ここはニセモノ。本物は別のところにある」
そう言って、すたすたとライラが歩き出す。
(すげえ、本当に通路をおぼえたんだ。俺にはこれは無理だな)
教会の地下室まで、入ったときの半分以下の移動時間で戻ってきた。
教会の礼拝堂に出てくると、ライラがバレンドルフに地下通路の地図を求めた。
全員に見えるように教壇の上に置いた。
「城門」
地下通路入口の地下室を指先で示した。
街に詳しくない騎士の二人とアベコウキが首をかしげる。
しかし、バレンドルフの頭の中で、地下通路の地図と街の地図がかさねられた。
「この通路の奥の位置にあたる場所、アンドレスの街でいえば……」
「そこに、本物がある」
ライラは地下通路の地図をバレンドルフに返した。
この廃村の地下通路そのものが巨大な街の地図になっていた。これならば誰かに地図を持ち去られることもない。
(もしも、この地下通路が練習用だったら、本物はもっとややこしいことになってそうだけどな)
アベコウキはそう考えた。
「誰がこの地下通路を作らせたんでしょうか?」
「この村の教会の歴史を調べてみれば、何かわかるかもしれない。街に戻って、この村の教会に関する資料がないか問い合わせてみよう」
ルシアとマルセリナとバレンドルフが言った。
荷馬車が街の城門から停車場に戻ったころには夕方になっていた。
「ご協力ありがとうございました」
マルセリナとルシアが、ライラに頭を下げていた。バレンドルフは、マリーナに頭を下げていた。
(たしかについていっただけだけど、罠がないか気を使ってた俺には?)
アベコウキの肩に、ライラが軽く手をのせた。
帰宅して、食事中にマリーナが言った。
「ねぇ、コウくん、あそこ何かに使えないかな?」
「地下通路のこと?」
「そうそう。それに村の建物もまだ使えそうだったし。街の人たちを呼んで、広場にテーブルと椅子を並べて食事とかしたら、いい感じかも」
(うまく罠とかつけて拡張すれば、いい隠れ家ができるかもしれない)
アベコウキはそう考えながら、マリーナにうなずいた。
騎士団の二人ルシアとマルセリナは、警備隊屯所に戻り、エリシーヌに探索結果を報告した。
警備隊兵士見習いアルベルは、ルシアとマルセリナと一緒に、街の教会で廃村の教会についての資料がないか探すことになった。
バレンドルフは城門から街のどこが奥の部屋にあたるか実際に辿ってみたのだが、これに関しては自力ではうまくいかず、後日、通路を一度で暗記したライラを訪問して、位置の特定に協力してもらった。
エリシーヌは領主クロコバルコには、街に秘密があることを報告しなかった。
騎士団から派遣されている二人は、王都の騎士団本部に帰って、報告書を作成して提出するので、領主クロコバルコや騎士団に依頼を出した西公領主、正確には西域公領の評議会に直接報告は行わない。
もしも、アンドレスの街の地下にダンジョンがあると評議会に情報が流れていたら、探索はエリシーヌたちには手を出させずに、自分たちの雇った者たちだけにさせていたはずである。
ダンジョンに隠されている過去の遺産が発見された場合、それが財宝であれば王都への報告と発見した財宝のすべてを献上しなければならないが、自分たちの手下しかどれだけのものが見つかったのか知らなければ、ごまかして報告することができる。
虚偽報告をしたとすれば、探索にたずさわった手下たちは始末されるだろう。
まれに古代の支配者たちの墓が発見され、内部がダンジョンとなっていて、財宝というべき埋葬品が発見されることはあった。

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