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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 43

「ここで休憩。食事を終えたら午後から地下通路に入ってみることにしよう」
旧教会の建物の前に荷馬車を停車して、バレンドルフは荷台に乗ってきた全員に声をかけた。
荷台から降りて外に出ると空が晴れわたっていた。
小さな村があったのだが、住人は移住したらしく、今は石造りの質素だが丈夫な建物が残っている。
(この廃村には何も感じないな)
アベコウキとライラは教会の周辺を歩きながら確認する。
「コウくーん、お弁当いただきましょう!」
「はーい」
アベコウキがマリーナに呼ばれて、荷馬車の見える村の広場だったと思われる場所に戻っていく。
食事を終えた騎士団の二人は、荷馬車に戻って照明などの午後の準備をしている。
バレンドルフは食事のあと、教会の地下へ通じている通路の入口を先に一人で確認した。
「コウくん、誰もいない村なのに、まだ人が住んでそうな感じがするね」
「うん、そうだね」
アベコウキはマリーナと村の中の空き家をのぞいてみた。
ライラは教会の礼拝堂に残されている女神像をながめていた。
「俺とルシアが列の先頭、三人は中で、後ろはマルセリナで」
バレンドルフが指示を出す。
教会の礼拝堂のある建物に地下室への階段があり、階段の先の小部屋は扉が閉まっていた。
小部屋には古びた机と本はないほこりのかぶった本棚があって、壁が崩れており、その先は通路になっているようだった。
照明として布の小袋に発光している小石を入れ腰から下げたり、手首から吊り下げている。布からすけている光が足元を照らしてくれる。
バレンドルフと騎士団の二人は腰に照明石を下げ、いつでも武器が使えるように手をあけてある。
ライラとマリーナとアベコウキは、手首から小袋を下げている。
バレンドルフな途中で通路の分岐点で何度も立ち止まり、腰に丸めてさしてある地下通路の地図を確認していた。
「途中までは地図を作ってある。ここは自然にできた穴じゃなく掘り抜かれているのがわかるだろう。道をまちがえると奥になかなか行けない」
「なんでそんなややこしい掘りかたをしたんだ?」
「俺にもわからん」
バレンドルフとルシアの会話を、アベコウキは聞いている。
(盗掘防止だな、きっと。でも罠はない。どういうことだろう?)
「この先に行くとそこだけ石柱が立っていて、床石が敷かれた広めのところがある」
バレンドルフの言ったように、そこだけは大部屋となっていた。
(ここにたどり着けないように迷路にして掘られてるってことだな)
アベコウキは、がらんとした何も置かれていない部屋の空間を見渡した。
「ここが通路のいちばん奥で、行き止まりなら、荷馬車に戻ることにしよう」
バレンドルフはそう言って壁を調べはじめた。
軽く木刀で叩き、音が変わる薄い壁がないか探す。
廃墟の教会の地下室でも、この方法で通路を壁の向こう側に見つけたらしい。
(それはまずいだろ、罠があったら発動するんじゃないか?)
アベコウキがそっと部屋を出て通路に移動すると、通路には毛玉を持ったライラとマリーナがいた。ライラがマリーナを連れて移動させてくれたらしい。
室内にはバレンドルフとルシアとマルセリナの三人がいる。ルシアとマルセリナは、床板を照らして目視中である。
「帰る」
ライラがそう言い出した。
「おい、迷子になるぞ」
「おぼえた。大丈夫」
ライラとアベコウキが通路を歩き出したので、マリーナが追いかけてくる。
「ちょっと、二人とも、待って!」
マリーナの声が反響する。室内の三人が通路側を見て驚く。
「勝手にちょろちょろしやがって」
ルシアがつい本音をつぶやいて走り出した。

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