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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 37

アーロンの命が尽きれば、次の餌になる人間を見つけなければならない。今朝は二回が限界だった。
あまり寿命の残りはないと、ライラにはわかる。
(アーロンとの食事は三日以上あいだを空けなければ)
アーロンを休ませているあいだに、餌にする人間をそろそろ探さなければならない。
昨夜の奇妙な魔法を使った少年アベコウキから、解毒の呪文を習うようにと、ライラはエリシーヌから言われている。
このアンドレスの街は周辺の村にくらべれば人間はいるが、誰でもかまわず餌にすれば目立ってしまうだろう。
(しばらくアーロンから離れて、もっと人間の多い王都にでも行ってみようか)
王都の騎士団には毒に犯された女騎士たちがいる。
その治療ついでに、王都で一夜限りの交わりを望む愚かな男どもから生気を奪ってくるのも、たまにはいいかとライラは考えていた。
午前中は読書で暇をつぶし、午後になって、ライラはマリーナの家に訪れた。
ちょうど玄関前に立ったとき悲鳴が聞こえた。
声のした庭のほうにライラが行ってみると、昨夜、ライラが埋まっていたあたりに、一本の木が生えている。
ただし、この木らしきものは枝のかわりに、かなり気持ち悪い動きをする蛸の足のようなものが蠢めいており、マリーナが足首に巻きつかれて引きずられているところだった。
「なにこれ?」
悲鳴を聞いてライラのあとから家の中から出てきたアベコウキにライラが質問した。
そうしている間にもマリーナは木の幹に引き寄せられて、両腕と両足を奇妙な蠢く枝に絡まれている。
「やだ、ちょっと、服の中に入ってきたぁ、くすぐったい!」
アベコウキが近づこうとすると、枝の一本がうなりを上げて鞭のようにピシャッと派手な音をさせて、足元の地面を打った。
「マリーナさんになついたらしい」
「なついているんじゃなくて、襲われているようにみえる」
アベコウキがまた近づこうとすると、やはり威嚇してくる。
そんな騒ぎのなか、ライラの足元にそろそろと奇妙な枝が這いずって近づいてきた。マリーナを捕獲したのと同じように足首に巻きつくつもりらしい。
ライラが手のひらを地面を這っている奇妙な枝に向けて目を細め、小声で呪文をつぶやいた。
一瞬、火に包まれた蛸の足のような枝は、熱かったのかぴちぴちとのたうつと、逃げるように幹のほうに戻っていく。
ライラに枝が焼かれたのに驚いたのか、マリーナを地面に落とした。マリーナが走って逃げてくる。
「あ、おびえてる」
アベコウキがつぶやいた。

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