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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 34

「この家にはもう一人いるはず。どこ?」
「寝てるよ。もう夜だし、帰ってくれ!」
「この私にその態度……ふふっ、ねぇ、覚悟はできてる?」
ライラの口元だけの微笑、目が笑ってない。
すたすたと歩みよってきて、いきなり頬をはたかれた。右頬、すぐに、左頬。
アベコウキが尻をついて後ずさるが後ろは壁。
「痛っ、いきなりなんなんだよ、まったく」
アベコウキは、頬の腫れを手で撫でるふりをして治癒した。
「悪い子にはおしおき」
そのままブーツの爪先があごを狙って蹴り上げられる。アベコウキは壁に後頭部をぶつけて、脳が揺れるのを感じた。
(マリーナさん、起きてくれないかな。こいつはやばいやつだよぉ)
髪をつかまれて、さらに後頭部を壁にぶつけられ、アベコウキの意識が遠くなる。
(くっ、こいつ、許さないぞっ!)
アベコウキが手をのばして体にふれようとすると、ライラはパッと手を離して飛びずさる。
(かわされた、だと)
アベコウキはライラのマスクデータを変更するつもりだったのだが、逃げられた。
「さっきみたいに、さわって頭のこぶを治療すればいい」
頬の腫れを手でさわって治療したのを見て、手にふれられるのを警戒したらしい。
「言われなくても」
アベコウキはずきずきと痛む後頭部には手をふれずに立ち上がった。すぐに痛みはおさまる。
アベコウキは体当たりをする勢いでライラに抱きつこうとするが、さっとかわされ、足をかけられた。
つまずいてアベコウキが前のめりに倒れた。
その背中をライラのブーツの足裏が踏みつけた。
「ごめんなさい、と百回言ったら許してあげる」
「誰が言うかっ、ぐぇっ!」
背骨が砕けたとアベコウキが思ったぐらいの衝撃が背中に走った。ジャンプして、つかもうとした手をかわし、そのまま両足のかかとが背中を襲った。
ライラはまたふれられない距離を取った。
アベコウキは気絶したふりをして倒れたまま起き上がらない。
(この勝負、俺の負けでいいから帰ってくれ)
「まだ本気を出してない」
ライラはアベコウキに話しかける。
(無視しておこう。返事をするとまた襲ってくるかもしれない)
ライラがそのまま目を閉じて呪文の詠唱を始めた。
アベコウキがあわてて起き上がって、必死にリビングから逃げ出した。
「逃げた」
ライラがつぶやいて走り出す。
そのまま玄関から家の外の庭にアベコウキは出ると片膝をついて、両足の手のひらを地面にあてた。
それとほぼ同時にライラが庭にあらわれた。
ライラが穴に落ちたように胸のあたりまで地面に一気に沈みこむ。
そして、アベコウキが手を地面から離したとたんに普通の地面に戻った。
「魔法はこうやって使うもんだ」
アベコウキが植えられた花のようになっているライラに言って立ち上がる。
(こんな魔法、見たことない)
「悪い子にはおしおきだったな」
アベコウキは肩から下は地面に埋まって、顔を上げているライラを月明かりを背に見下ろして言った。
ある範囲の地面を泥沼に一瞬だけ変化させる。
地味な魔法だが一騎討ちには効果的である。
「家ごと焼き払うつもりだったのか。家の中で炎の魔法を使おうとするとは、かなりいかれてる」
ライラが詠唱しかけていた呪文は火炎系の魔法だとわかったのでアベコウキは外へ逃げた。

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