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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 33

「そうか、バレンドルフ、全員に飲み物を」
「はい」
バレンドルフが席を外している間にエリシーヌがマリーナに言った。
「魔法が使えるようになったことは他言無用、バレンドルフにもな。認可なき魔法使用は罰せられる」
(全部、報告済みか。で、エリシーヌが口止めするってことは、調査員にばれてないってことだな)
「エリシーヌ様、僕も話しておかないと。マリーナさんは毒にやられた人を治せるようにできるけど、どうしますか?」
「私は薬と聞いているが。マリーナ女史が王都に行ってくれたら、薬を作る必要はないと」
「すごいな、やっぱり。そういうことです」
「え、どういうこと、コウくん?」
「帰ったら説明する。僕とマリーナさんの許可をお願いします」
「わかった。褒美は何が欲しい?」
ちょうどエリシーヌがそう言ったとき、バレンドルフが両手にジョッキを持って戻ってきた。
エリシーヌ、アベコウキ、マリーナ、三人ともバレンドルフの顔を見つめた。
「乾杯でもしますか?」
バレンドルフがエリシーヌに言った。
テーブルにジョッキが置かれ「乾杯」とエリシーヌは言うと、一気に酒を飲み干した。
「おもしろい子だ。マリーナ女史、また来客があると思うがよろしく頼む。私はこれから行くところができたので、悪いが失礼させてもらう」
エリシーヌはフードをかぶって店の外へ颯爽と出て行ってしまった。
まだ三人はジョッキに飲み物が残っている。
「バレンドルフさん、エリシーヌ様ってお酒強いの?」
「ああ、樽でも一人で飲みきれる」
そう言ってジョッキの残りの酒を飲んだ。
「コウくん、これおいしいねぇ」
マリーナさんがひゃっくりをして言った。そして、すぐテーブルに顔をつけて眠りこんでしまった。
「エリシーヌ様もマリーナさんと同じお酒を飲んだのかな?」
「そうか、マリーナ女史は酒に弱いのか。家まで運ぶよ」
(子供の体は不便だな。マリーナをおぶって運ぶこともできない)
眠りこんでしまったマリーナを、バレンドルフが背負って運んでいく。アベコウキはちょっと立ち止まって見つめてから、小走りでついていった。
エリシーヌが酒場で一杯だけ飲んで、宿屋の書斎を訪れた。
「ライラ、おもしろい子を見つけた」
ライラに、エリシーヌはアベコウキから魔法の訓練を受けてくるように命じた。
「解毒薬」の作成と試作品の人体への投与の計画はこうして中断した。
酔っぱらって熟睡しているマリーナをベッドに横たえて、バレンドルフはすぐに帰った。
(剣、槍、弓、騎馬、どれでも戦えるのに、酒場で働いているのか。もったいないような)
バレンドルフの[キャラクターステイタス]を「わあ、すごい筋肉だね」といって背中をさわるふりをしてアベコウキはチェックしておいた。
バレンドルフがマリーナの家から立ち去ったのを他の家の物陰から確認した来訪者は、静かに家に近づいていった。
玄関の扉から侵入するとリビングへ。
窓からの月明かりの中で紅く変化した瞳が暗がりに浮かぶ。
寝室から出てきたアベコウキは、リビングで来訪者と遭遇した。
ツインテールの長い金髪を、黒いリボンで結んでいる。黒いブーツ、フリルのついた黒いドレス。そして暗がりで紅く輝く瞳、紅い唇。
「エリシーヌがおもしろい子がいると言うから、会いに来た」
(うわっ、なんか、こわい美少女がいきなりいるんだが)
「今晩、すぐ誰か来るなんて聞いてないぞ」
無邪気な子供のふりをしたら、蹴られそうな気がしてアベコウキは一歩下がりながら、来訪者のライラに言った。

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