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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 4

「お母様の治療は順調だそうです。警備隊も忙しいでしょうから休暇は難しいかもしれません。でも、お手紙ぐらいならお届けできますよ。そんなに緊張なさらず肩の力をぬいて下さいね」
「はい。僧侶様」
「メトラでよろしくてよ。ここは警備隊ではありませんから」
メトラはふわふわとした栗毛の少女アルベルに、にっこりと笑いかけた。
領主の邸宅は街の中央にある。
「エリシーヌ様、ご機嫌いかがですか?」
初老の紳士がエリシーヌに一礼する。
「警備隊長でいい。警備隊の予算でも増額してくれる話か?」
「いえいえ、エリシーヌ様、ここではなんですから、応接間のほうへ」
「話は手短に頼む」
街の最有力名士としての領主クロノバルコだが、警備隊長エリシーヌには頭が上がらない。
悪党連中から牝狐と罵られる警備隊長のエリシーヌだが、王都では大陸東方の公主ルアールの勇敢なる妹君として有名で、王宮を守護する騎士団に誘われたのを断り、なぜか街の警備隊長をしている若き英傑である。
大陸には五人の公主が存在している。版図のうち大陸の中央平原地域を直轄する王領と東西南北の地域をそれぞれ領土として封ぜられる4つの公爵領、そして大陸には存在しない公国との連合王国の体裁を成す。
東の公国の姫君であるエリシーヌが、この西域の街で警備隊長をしていることを一般の民衆は知らない。
領主クロノバルコの家系は代々この街の領主の家系である。西域公国の8つの街では街とその周辺地域ごとに公主より自治を任されている。
「来月、ダルア公領より視察の者たちがこの街に来るとのこと、その知らせです」
「ダルア公がこの街に気になることでも?」
「その視察の目的は知らされておりません」
「まあ、よかろう。話はわかった」
ダルア公、高齢の公主で公領は評議会に任せて悠々自適に暮らしていると、エリシーヌは聞いている。
ダルア公本人の命令ではないだろう。
各地の評議会はその地域の有力な商人などが仕切っていることが多い。
(賭博場の売上を受け取っていた評議会メンバーでもいたか?)
この西域はもともと王国の領土ではない。
褐色の肌のエード族の地だった。
そこへ移民としてやって来た王国の民が住み着き、エード族もまた大陸各地へ渡った。
この街の僧侶メトラはその末裔である。
他の公国が10の街で封土を支配しているが西域だけが8つの街なのは砂漠の領域があるためだ。
エード族は砂漠の民でもある。

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