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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 20

召喚魔法で出現したものが食材として利用できないか、と依頼したのも貴族たちである。
大陸では見たことのない、四つ目の魚にカエルの脚がついたものが出現した。
それを貴族に仕える料理人が食材として調理し、試食した。
調理人は味の良さに感動したが、それ以上に感動したのは長年の悩みであった薄毛が三日後には解消していたことである。
「これは奇跡だ」
依頼主の貴族に報告を済ませ、その夜の晩餐に貴族へふるまうために調理を開始した料理人は、絶望を噛みしめることになった。
味覚が完全に失われてしまったからである。
食材を調理して食すことができても、食したものを食材に戻すことはできない。
召喚魔法の法術と調理という技術の融合という夢も終焉したか。まだ挑戦は裕福な商人が依頼主と変わり行われた。召喚魔法で出現した食材を調理して小指の先ほどの少量だけ摂取したら、効果だけが得られないか。味覚を失う悲劇を避けられないか。
結果は味覚が失われ、増毛効果は得られなかった。
味覚を失わせたい相手に摂取させるレシピが完成した。食べることを楽しみに生きている相手には、味覚が失われる苦痛は深い悲しみを与える。
ある熟年の貴族女性は薄毛を解消するために、あえて味覚を一生失ってもかまわないと、大金をつぎこみ、ひそかに作らせて食した。すると味覚は失わず、かわりに視力を失った。
召喚魔法で出現した奇妙なものを猫が食べてしまった事例がある。食べた猫はけろりとしていた。
その猫を召喚魔法の供物として召喚したところ、何が出現したのか記録がない。
禁忌の法術を行った僧侶のものらしき引き裂かれた法衣の残骸と血痕が、魔方陣の描かれた床に残されていた。
禁忌の法術によって引き起こされた体の異常の治癒に関する研究は、犠牲者がいなければならない。しかし、禁忌の法術を行った者も、それによって作り出されたものから、何かしらの加工を施された品物も禁制品であり、それを使用して犠牲になった者は罰せられるのをおそれ口をつぐむ。そのために特殊な治癒魔法の研究は停滞している。
そんな状況の中で媚毒の香の煙による犠牲者の治癒に成功した事例の噂は、半信半疑ながらも今まで口をつぐんでいた体の機能のなにかを失った者たちは興味を持った。
思い通りにならない願いを大金を払って叶えようとして、禁忌の法術に関わった代償をその身に受けた者たちは、その失われたものを取り戻せるなら、大金を払う約束をすることをためらわないだろう。ただし治癒したのちに、そんな約束はしていないと言い出すかもしれないが。
治癒が不可能なダメージを与える手段として、召喚魔法を使い作成した品物で呪いをかける者たちとしては、噂が本当であれば商売の根底を揺るがす緊急事態である。
僧侶メトラとしては不測の事態に備えてアベコウキを身近に置いておきたいところだが、なぜかアベコウキは評議会メンバーのマリーナが保護しており、アベコウキ自身もそれを希望している。
僧侶メトラは、親友のエリシーヌからの協力要請だけではなく、治療者の少年アベコウキがいるという理由から、アンドレスの街から離れることができなくなった。
(ここがアンドレスの街。ギャングが事件を起こした治安の悪い街には見えないわね)
西域の老公主ダルアからの依頼を受けて視察に来た女騎士とその従者は、昼間の活気のあるアンドレスの街の市場通りを歩いていた。
街の中を騎乗することは街の掟により禁止されているため、馬は警備隊屯所にあずけなければならないと街の大門で門番の兵士から言われたからである。
王都では通りの中央は馬や馬車、両脇は歩行者用と区分されているため、街中での騎乗は問題ない。

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