PiPi's World 投稿小説

奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 17
 19
の最後へ

奇跡の男と牝奴隷たち 19

「あってはいけないことだと思います」
警備隊兵士見習いアルベルは立場として、街は安全ではないとは言えない。
「アベコウキさん、わたくしは貴方の治療に使われたという魔法についての知識がありません。汗顔の至りではありますが、ご教授いただきたく、こちらへまた訪問させていただくことをお許し下さい」
(おいおい、子供にその言い方じゃ通じないだろ)
アベコウキはちらっとマリーナの顔を見た。
身分の高い僧侶様が子供にやたらと丁寧に頭を下げてお願いをしたので、マリーナが驚いている。
「えっと、僧侶メトラ様がこの子に魔法を習うためにうちに通って来られるということですか?」
「本来ならば王都の魔法研究機関に導師としてお迎えしたいところです」
(やばい感じ、王都で軟禁とかされそうだな)
マリーナとアベコウキが目を見合せた。
(そんなにすごい子なんだ、コウくんって)
マリーナの家から出て、僧侶メトラと警備隊兵士見習いアルベルは、謎の少年発見の報告のため警備隊屯所へむかった。
「マリーナ女史のところにいるのか、その少年は」
報告を二人から聞いたエリシーヌはそう言ってからぽつりと「失われた魔法技術か」と執務室の窓の外の夕日に照らされた空を見つめてつぶやいた。
エリシーヌが何を考えているのか、兵士見習いアルベルにはわからなかった。
賭博場拉致監禁事件の被害者たちは奇跡の治療を行ったのは、僧侶メトラの知識を授かった少年だと思っており、またアベコウキとマリーナも口外しなかったので、僧侶メトラの評判が噂として伝わることになった。
結果としてギャングに命を狙われることになったのは、僧侶メトラであった。
王都の魔法技術研究家たちが、古代魔法文明の遺物の発掘や探索に情熱を燃やしていた時代は終焉を迎えた。理由は単純な話で、古代の遺物を苦労して入手しても、それを解読したり、何かしらの方法で魔法を発動させることが困難だったからである。
次に研究者たちが期待したのは、異界の魔法技術の知識を来訪者から得るという方法だった。これは結果的には大陸に存在しない薬物の作成という実験が行われることになった。
異界からの召喚魔法でこちら側へ強制的に取り出されたものが見た目がどれほど奇妙な姿であろうと、血や肉や骨まで、人が摂取した結果、予想外の効果があったからである。
ただし、効果が強いが副作用で悪影響を及ぼすものや、適量が判断できずに最悪、死に至ることもできずに変化を遂げ、逆召喚、つまり異界流しにされることもあった。
この研究は禁止されたが、異界のものを摂取させ変化を遂げたあとの品物が密売品として取引されることは今も続いている。
媚毒の香炉で焚かれるものは香木ではなく、異界から召喚魔法で取り出されたあるものを動物に摂取させて、ミイラ化させた死骸だといわれる。
魔法技術研究は現在使用されている法術の効果を品物に転移させて効果時間を延長するのが最先端技術となっていて、新しい効果を発動する法術の研究は長い期間、頓挫したままとなっている。
それでも発光する石材を使用した家の建築や水に入れたらお湯になる小石など、法術の知識がない人たちも法術の効果の恩恵を受けて生活している。
召喚魔法は禁忌とされている。もともと召喚魔法を発動させるのが目的ではなく、銅貨を金貨に変化させようした物質変化の法術の実験で銅貨が消失するという失敗から、消失の逆を試してみたら、何か出現した、というわけである。
銅貨を金貨にするという研究を依頼した貴族たちは何もないところから物質を出現させる召喚魔法の発見という成果を報告されて「それで今まで研究に投資した金額以上の金貨か金塊を出すことはいつできるのかね?」と言ったという。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す