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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 181

マリーナに手を引かれて、リビングに目を閉じたミュウがゆっくりと歩いてきた。
彫りの深い鼻筋の通った顔立ち、ロングヘアーの銀髪。全裸姿のミュウが目を開くと、瞳は金色であった。リビングの窓辺で振り向き満月を見ると、すぐに変化が起きた。
這いつくばったミュウのしなやかな女体は何度もゴキッっと生々しい音を立てる。
全身は柔らかい白い体毛で密に被われており、特徴的な黒い斑点が見られ、黄色がかった灰白色の毛色のそれは一匹の雪豹であった。
しなやかな歩調でソファーに座ったアベコウキにそっと近づき、手の甲をざらりとした舌で舐めた。
「うん、変身終わった合図だ」
目隠しの布を外したアベコウキが、そばに座った雪豹ミュウの背中を撫でる。グルルルと低く喉を鳴らし、ルミエールとメトラを雪豹ミュウはまっすぐ金色の瞳で見つめている。
「……猫じゃなくて豹ですね」
「でも、尾も二本だし、猫叉だと思うけど」
僧侶メトラにアベコウキが言う。
「獣の姿になっても人の言葉はわかるのか?」
すると、雪豹がルミエールにうなずくように頭を下げる。
「話せませんが、ちゃんと言葉もわかります」
マリーナはアベコウキから目隠しの帯布を受けとると、雪豹のミュウと一度リビングから退出した。
戻ってきたときミュウは人の姿に戻っていて、目隠しをしていた。
「公主様、僧侶様、はじめまして。ミュウといいます」
「南公領から逃げてきたと聞いているが、南公領の人間はみな満月を見ると変身するのかね?」
「いいえ、しかし西公領には狼に変化する者たちがいるはずですが」
「メトラ、そうなのか?」
「私にはわかりません」
アベコウキが話し始めた。
「ミュウの話によると、狼になる種族とか、熊になる種族とか、いろいろな種族が大陸のあちこちにいるみたいなんだ。で、南公領では獣人って呼ばれていて、見つかると殺されちゃうんだって」
「遠い南公領からどうやってアンドレスの街までミュウは来たのか?」
「ミュウはダンジョンに引き寄せられたんだと思うんです。魔力を吸収する結界の中に、南公領から瞬間移動してきたんだ」
ダンジョンの増築をしようとアベコウキがしていて雪豹が出現したということらしい。
「イグナートは獣人たちが暮らす森を焼き払うように命じました。火の中を必死に逃げているうちに、気がついたら、ここに来ていたのです」
死にかけて火傷だらけの雪豹をアベコウキはダンジョン一階に運んだ。泊まりに来ていたマリーナが治癒魔法を施すと、ミュウは人の姿に戻った。
「……公主様、私をこの街から追い出しますか?」
「アベコウキをふくめて、この街にはいろいろな者が訪れる。追い出したりはしない」
ルミエールがあっさり答えた。
「アベコウキ、南公領からの密偵ではないと判断して、私やメトラにこのミュウを引き合わせたのだろう?」
「もちろん。ミュウが獣の姿で走られたら馬でも追いつけないけど、ルシアなら追いつけると思う。南公領まで逃げ帰るのは無理。気になるのは、ダンジョンにどうやって瞬間移動してきたのかミュウがわかってないことなんだ」
「他にも南公領から魔法で誰かが渡って来ているということか?」
ミュウの暮らしていた森に、獣人族かキジム族かの神木があり、それが焼かれたので護りの神木にふれていたミュウだけをだけに瞬間移動させたのではないか。
「でも神木は焼かれちゃったから、ダンジョンにいきなり瞬間移動してくる人はいないと思う」
というのがアベコウキの推測であった。
「もしも公主様が私を密偵として疑うのであれば、私はこの目を一生見えぬよう突いてしまうつもりでした」
「うわっ、すごく痛そうだからやめて。そんなことしたら、すぐにマリーナさんに治癒してもらうけどね」
ミュウが言うと、アベコウキがすぐにそう言った。
「マリーナ女史、このミュウの身柄は、アベコウキと貴女があずかるということでよいか?」
「はい。まだまだダンジョンの住居は空き家がありますから、ミュウさんにはダンジョンで暮らしてもらうつもりです」
「わかった。ミュウ、狼に変身する者が西公領にもいるという話は、また後日、私たちに聞かせてくれるか?」
「ありがとうございます、公主様。明日にでも警備隊屯所に伺わせていただきます」
「よかったわね、ミュウさん」
「はい、マリーナさん、ありがとうございます!」

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