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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 180

警備隊屯所の執務室に、帰還したルミエールは僧侶メトラを呼んだ。
「住人の失踪……ですか?」
「そうだ。移住したにしてはどうも不審な点が多い」
アンドレスの街より南の宿場街から来た僧侶セシルから、他の公領へ逃げ出している領民がいる噂を僧侶メトラは聞いた。それは、すでにルミエールに報告済みであった。
夜逃げしていく街の住人を見かけた地域とギャングに占拠された地域。
アンドレスの街から南へ向かった地域と北へ向かった地域で状況が異なっている。
北へ向かった地域ではギャングどもに占拠された村はなかった。
ルミエールが想定していた状況は、ギャングどもがアンドレスの街から北へ向かった地域の小村や最悪では宿場街ウルーズも占拠されているというものだった。
実際に自分が赴き、また騎士ルシアに食糧を配布させてみてわかったのは、ギャングどころか住人たちがごっそり姿を消している状況であった。
執務室の扉がノックされた。
「マリーナ女史が面会に来ています」
「アベコウキも一緒か?」
「いえ、御一人のようです」
「会おう」
警備隊補佐官アルベルが一礼して、待たせているマリーナ女史を呼びに行った。
「……獣人?」
「はい。コウくんはそう言ってます」
僧侶メトラが、マリーナに聞き返した。
「猫叉というそうです。満月を見ると猫の姿になるそうなので、今はダンジョンで暮らしています」
「ネコマタ……聞いたことがないな」
「ネコマタについて吟遊詩人のディオンであれば知っているかもしれませんが。私はディオンから獣人についてだけなら少しだけ聞いたことがあります」
僧侶メトラは獣人の大陸の各地に伝承があることを
説明した。満月の夜になると人が獣と化して姿をくらますという伝承の物語がある。獣だけでなく鳥であることもある。
「美しい満月の夜には気持ちが高揚する者が、ずっと昔からいたということなのかもしれない」とディオンは満月を見上げながら僧侶メトラに話したことがあった。
(人が動物の姿になるとは信じられない話だが……)
とルミエールが考えながらマリーナと僧侶メトラの説明を聞いていた。
「今夜は満月です。実際に変化するのを見てもらったほうが信じてもらえると思います」
昨日、負傷した獣人が南公領から逃げてきた。アベコウキとマリーナはダンジョンに保護して治療を施し、逃亡してきた事情を聞いた。
(逃亡中の皇子の次は、逃亡中の獣人……驚くようなことが続きますね)
僧侶メトラがため息をついた。
「では、御二人とも、夜になりましたら、私の家にお越し下さい」
リビングでは目隠しをされたアベコウキがソファーに腰を下ろしていた。
「マリーナ女史、なぜアベコウキは目隠しをしているのかね?」
「ミュウさんが月の光を見て変化すると、服を着たままですと、破けてしまうので……」
「なるほど」
ルミエールはアベコウキがかなり美女好きなことも、マリーナがアベコウキに対して、特別な思いがあることも言われなくても気づいているのでうなずいた。

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