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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 178

宿場街ウルーズの寂れようは、アンドレスの街に来た皇子ジョルジュと酒造り職人の娘マイリスから聞いていた。
オーリッサの都周辺の居住地の状況は、歩く骸骨の件で二人は急いで通過したので、詳しい状況がわからなかった。
騎士ルシアから廃村になっている状況を聞いて、バレンドルフは、村人たちがかなり困っているだろうと想像していたが、実際はそれ以上の困難な状況であったことがわかった。
(アベコウキが、大問題と言うわけだ)
会議の時にアベコウキが言った言葉を、バレンドルフは思い出していた。
ルミエールが酒を注文すると、酒場の店主が「今は酒を切らしておりまして……」との返事だった。
バレンドルフは、宿場街ウルーズの住民に西公領の警備隊巡察であると説明した。ルミエールは騎士ということにして、公主であることを隠している。
生まれた村の周辺で暮らしていて、王都どころか他の離れた街にすら行ったことがないまま、一生を終える民衆も多い。公主の名前誰も知らない者だっている。
まして、現在は旅商人が行き来していない状況で他所の地域の情報がない。宿場街ウルーズでさえ、公主が目の前にいても、街の代表の責任者である酒場の店主がルミエールが公主だと気がついていない。
酒造りの街トレスカーナは名産の酒があり、オーリッサの都が廃墟になる前までは、王国からの旅商人たちが定期的に来ていたので情報量が多く、街の代表責任者は職人たちの「親方」のラウノが王都へも招待されたことがある人物で、他の地域の代表責任者より知識がある。
酒場の店主ロニーがテーブル席から離れたカウンター越しに、ちらちらとバレンドルフたちを目を合わせないように気にしている。
ルミエールは店内だが、目深にフードをかぶったままである。
西公主ダルア公が長年に渡り、政務を放棄してオーリッサの都の評議会に委任していた。そのため貴族の評議会議員が権力を握り続けた。アンドレスの街以外の他の居住地の代表責任者たちは、それが当たり前のように思っている。
宿場街ウルーズの代表責任者ロニー自身が、寂れた街をどうにかしようとは考えない。
ただ考えずに従うということに慣れきっている。
(このままだと、ウルーズも誰もいなくなって、廃墟になりかねないぞ)
バレンドルフが腕組をして考えこむ。

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