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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 175

スケルトンの特徴は、最初の命令を忠実に遂行することにある。たとえば西に向かって直進しろと命令されたら他の命令を受けつけない。
ただし、術者がそばにいて1体か2体のスケルトンを操っているなら、器用にあれこれ肩もみや本棚から「三段目の左から五冊目」と言えば持ってくるぐらいのことはできる。
もしも狼を撃退するとしたら、都を一緒にスケルトンと巡回して自分がおとりになって狼を呼び寄せるしかない。それで身を守れるほど、狼の狩りは甘くない。
「大量に歩いていた骸骨で都から狼を連れ出そうとしたのかもしれないけど、狼は肉つきの人間を食べてなくなっちゃったから、しかたなく歩く骸骨についていくだけで意味がないと思うんだ」
「アベコウキが呪術師ならどうする?」
「……マリーナさんに狼をやっつけてもらう」
アベコウキが隣のマリーナをチラッと見て言った。
「歩く骸骨で呪術師一人に1体か2体護衛をさせることはできるのはわかった。では、歩く骸骨をマリーナ女史がやっつけるにはどうしたらいい?」
「魔法の印がつけられている骨が壊れたら、すぐに崩れちゃうよ」
呪術師がそばにいて操る器用なスケルトンは、骨のどこかに印がつけられていて、それを消したり破壊すれば崩れてしまう。頭蓋骨の内側など目立たないところに印がつけられていることが多い。
だから骨をかじって破壊する狼や野良犬は、スケルトンにとって天敵といえる存在である。
「そばについていないまま操るっていっても難しい命令は離れるほどできなくなるし、距離が離れた骸骨を操るには術者は術に集中するから動けなくなるんだ。オーリッサの都にいて、わざわざ遠くまで骸骨だけを歩かせる意味がわからないんだ」
アベコウキがそう言ったのを聞いて、ルミエールがうなずいた。
「大量の歩く骸骨を操っている呪術師はオーリッサの都のどこかに潜伏しているということだな」
「まだ歩く骸骨が散歩してればだけどね」
100人いた呪術師は12人まで人数を減らしながらも、狼を毒餌、つまり自分たちの体に毒を塗りつけ、狼に食わせたことで狼たちを警戒させることに成功した。
4人の呪術師が大量のスケルトンを東と西へ向かわせ、8人が瞑想中の4人を警備している状況だとはルミエールにはわからなかった。
狼を警戒させる猛毒で戦闘で負傷した呪術師たちは捕縛される前に自決した。傷口から体に塗りつけてあった毒で死亡した者たちともいえる。
臭いの強い毒を塗りつけてある呪術師たちの遺体にふれても、薬草サラダを毎日食べているルミエールたちには何も影響はなかった。
護衛のスケルトンはルミエールや騎士二人に破壊され粉砕された。
術を行うために体力を奪う毒を体に塗らずに市街地の建物の中に散らばっていた瞑想中の4人の呪術師は、バレンドルフや警備隊の女隊長レギーナが発見した。術の途中で揺さぶられたり、頬を平手打ちされたりして強引に意識を呼び戻されたショックで、叫び声を上げたあとそのまま心臓麻痺で4人とも死亡した。毒で死亡したと思われているが、乱暴に目をさまされなければ生存していたにちがいない。
オーリッサの都の奪還戦は、ルミエールたちが考えていたよりもあっけなく成功した。

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