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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 173

マリーナがため息をついてそう言った。
そのため息を聞いて、マイリスはこの人は信じても大丈夫な人だと感じた。
「骸骨の散歩より、そっちのほうが大問題だと思うんだけど、なんで?」
「コウくん、なんかね「疫病」のへんな噂が流れてるみたいなの。オーリッサの都のそばにいた人にさわったら病気になるとか。それでね、旅商人がこわがって物を売りに来ないんだって。だから、よそから来た人にいじわるして追い出したり、わざと物を高く売る人がいるみたいなの」
マリーナがわかりやすくアベコウキに説明した。
「そういうことした人たちは、ダンジョンに住ませたくないなぁ」
アベコウキがそう言ってうつむいた。
話を聞いて、何かできることがないか考えてみたが良いアイデアが浮かばなかったからであった。
「なんですか、ダン……ジョって?」
聞き慣れない言葉に、マイリスがアベコウキに質問した。
「ダンジョ、じゃなくて、ダンジョン。ルミエールさんに頼まれて作ってみた避難所。んー、説明するのも行って見せたほうが早いかも。二人とも暇なら今から、ちょっと行ってみる?」
アベコウキに言われてダンジョンに行ってみたジョルジュとマイリスは、魔法という自分たちの知らない便利な技術があることを実感した。
「すごいな、世界にはまだまだ知らないことがたくさんある」
ジョルジュが感動して、マイリスに言った。
アベコウキとマリーナが二人をダンジョンから<大鴉亭>まで連れて帰ってきた。
(ジョルジュが皇子なのにトレスカーナの街で酒造りをしてるのはなんでなのか、聞きそびれたな。まあ、今日はもういいか)
ルミエールはバレンドルフの報告で、すでにアベコウキとマリーナ女史がトレスカーナの街から来た二人の話を直接聞いたことを把握した。
「バレンドルフ、明日の午後、評議会メンバーと、アベコウキ、あとトレスカーナから来た二人を会議室に集めてくれ」
執務室のルミエールは、机上にある吟遊詩人ディオンの手紙を見つめながら言った。
(ギャングの次は呪術師か。オーリッサの都がどれだけ悪党の巣であったかがわかるな)
翌日の午前中、ルミエールは街の教会にいる僧侶メトラを訪ねていた。
僧侶メトラは、かつての戦争で帝国軍が髑髏に武器や防具を装備させた兵団を進軍させ、王国連合軍は一時撤退まで追い込まれたことや、髑髏の兵士がアンドレスの街に近づくとただの人骨に戻って崩れてしまったことを、ルミエールに教えた。
南公主イグナートと呪術師との関係は不明。
しかし「歩く骸骨」と、かつての戦争で使用された髑髏の兵士と同様に呪術によって作られたものであることがわかった。
「メトラ、髑髏の兵士はアンドレスの街に攻め込んで来ると思うか?」
「攻め込んで来るならば、すでに実行されていてもおかしくはありません。多数の骸骨が西へ歩いて行ったのを目撃されているわけですから。西域に何か骸骨を大量に向かわせなければならない理由があるのか気になります」
西域の今は人が住まない砂漠地帯にはエード族の遺跡が砂に埋もれて眠っている。
「オーリッサの都の方面から歩く骸骨が来たように目撃者は感じたらしい。呪術師どもはオーリッサの都で骸骨の兵団を作ろうとしたのだろうか」
「調査団が大量の遺体を焼いた人骨がオーリッサの都にはありますから、材料は山ほどほどあると思われます」
先日、王都エルンストから派遣されていた調査団が帰還するという連絡を、ルミエールとメトラは、神聖教団から受けている。調査団が帰還したあと、呪術師たちがオーリッサの都に残された人骨で髑髏の兵士の作成を行ったと二人は推測した。
「呪術師どもがオーリッサの都に、まだ潜伏していると思うか?」
「わかりません。呪術師たちがどのような魔法で人骨を動かしているのか、魔法に詳しいアベコウキに聞いてみたいところです。それによっては、オーリッサの都に潜伏している可能性もあるかと……」

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