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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 172

酒造りの街トレスカーナに、不審な人物たちが来たこと。
新酒の祭の日にライラと吟遊詩人ディオンが来たこと。
不審な人物に呪術師らしい刺青があったこと。
途中でオーリッサの都の方向から「歩く骸骨」がぞろぞろとやって来て、それを狼が襲っていたこと。
吟遊詩人ディオンからバレンドルフ隊長宛の手紙を二人で持ってきたこと。
そうしたことを、マリーナとアベコウキにジョルジュとマイリスは話した。
「コウくん、歩く骸骨ってなんか怖いんだけど」
マリーナがアベコウキに言った。
(いやいや、絶対こわがらないで、電撃でぶっこわすでしょ?)
とアベコウキは胸の中だけで言った。
マリーナの反応が普通だったので、同感のマイリスが何度もうなずいた。
「歩く骸骨は、オーリッサの都で誰かが作って操っているんじゃないかな」
アベコウキはそう言うと、少し考えこむように目を閉じた。三人はアベコウキに黙って注目していた。
「なんのために骸骨を歩かせてみたのか、意味がわからないよ」
「歩かせようと思えば、歩くものなんですか?」
「うん。徹夜で護衛とか、夜営しているテントのまわりをぐるぐる巡回させておけば、自分たちはゆっくり眠れるじゃないか。でも、僧侶の人がいたら不謹慎だって嫌がると思うけど」
アベコウキは話しながら、アジトの塔の中で警備にスケルトンを巡回させたら、僧侶から「これは死者への冒涜です!」と言われたのを思い出していた。
「ねぇ、荷物を運んだりもしてなかった?」
「いえ、別に何かを運んではなかったと思います」
「人間でも、馬でも、荷物を運んだら疲れて休憩が必要だけど、歩く骸骨だったら、休憩しないで運んでくれるから。そっかぁ、荷物運びでもないか」
ジョルジュとマイリスが会話の内容に、対応に困って顔を見合せる。
「コウくん、普通は骸骨が歩いて荷物を運んだりしてないよ。でも、転んでバラバラになっちゃったりしちゃいそう」
マイリスがマリーナが言った状況を思い浮かべて、つい、くすくすと笑ってしまった。
(仲間の骸骨が、そばでおろおろしてたりして)
アベコウキの食後のお茶を飲みながら出した推論は「呪術師の人たちが、魔法で骸骨を歩かせる練習してたのかも」というものであった。
ジョルジュはそれを聞いて、なんとなく肩から力が抜けてしまった。
異様な恐ろしいものを見たと思っていたので、話すときも思わず体のあちこちがりきんでしまっていたのだが、目の前の少年が骸骨が歩くのはあたり前のように話すので、とても恐ろしいものだと思った自分がへんなのかと感じ始めていた。
途中の宿場街で、オーリッサの都から南側や周辺から来た者は水も分けてもらえず、追い出されたり、旅人に水や品物をとても高く売りつけていることをマリーナにマイリスは話した。
「ええ、ひどいことになってるみたいですね。北のほうの村に住んでいたルベールさんとリエットさんという人たちが、今、アンドレスの街に移住していますが、その二人もやはりそんな話をしていました」

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