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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 171

逃亡中の皇子ジョルジュと酒造り職人の娘マイリスは、南の大門で警備隊の兵士を見つけると、吟遊詩人ディオンからあずかった手紙を「バレンドルフ隊長に渡して下さい」と手渡した。
手紙はすぐに警備隊屯所にいたバレンドルフのもとに届けられた。
二人は<大鴉亭>に宿泊することにして、部屋で休んでいるとバレンドルフがやって来た。
「君たちか手紙を届けてくれたのは。ありがとう」
ジョルジュは、オーリッサの都の周辺で見かけた奇妙な歩く骸骨の話をバレンドルフに聞かせた。
「歩く骸骨か。トレスカーナの街に来た呪術師たちと関係があるかもしれないな。俺より魔法に詳しいやつに聞いてみるとしよう」
「アベコウキって人ですね、ライラさんから聞いています」
「とりあえず、そんなよくわからないものに遭遇した二人が本当に無事でよかったと、俺は思う」
バレンドルフの口調は、吟遊詩人ディオンとよく似ている。体つきはバレンドルフのほうが逞しく、顔立ちもちがうのに、雰囲気はどこか似ている。
ジョルジュはバレンドルフとは初対面だったが、とても安心した。
「ディオンは、俺の兄貴みたいなもんだから。二人とも疲れきってなければ、今からちょっと俺の店に来ないか、もちろん俺のおごりだ」
バレンドルフが警備隊の隊長なのは聞いていたが、酒場の店主だとは二人は聞いていなかった。
「警備隊の隊長で、酒場を妻と一緒に経営してる」
話しながら店に案内しているとき、ちょうどマリーナとアベコウキが歩いてバレンドルフの店にむかう途中で同じ方向に歩いていた。
「はじめまして、マリーナです。この街の評議会メンバーをしています」
「こんばんは。アベコウキです」
アベコウキはてっきり大人だと二人は思っていたので、目の前のさらさらとした髪の、きれいな顔立ちだが、愛嬌のある笑顔の少年が「呪術師なんかより、魔法に詳しい」とライラが言っていた人物に思えずとまどいながら、二人と挨拶の握手を交わした。
(クラウセスタ王国の皇子ジョルジュか。なんか、おもしろいことになりそうだ)
アベコウキが笑顔はそのままで目を細めてジョルジュを見上げた。
ジョルジュは、なぜかちょっと嫌な予感がした。ライラに「ジョルジュ、あなた、強い?」と言われたときの微笑みを思い出したからである。
店に到着するとバレンドルフは妻マノンを二人に紹介したあとすぐに、厨房にマノンを呼んで三人におごりで食事を提供するように頼んだ
「俺は今からルミエール様に会ってくる」
手紙ではオーリッサの都でジョルジュたちが見かけた「歩く骸骨」のことは書かれてなかったので報告していない。この件は明日ではなく今すぐ報告したほうがよいと、バレンドルフは直感していた。
「もう、帰ってきたと思ったらすぐ出かけてしまうのね、バレンドルフ、ちょっと待ってて」
妻マノンがサンドイッチを急いで作り、バレンドルフに手渡した。バレンドルフは厨房でサンドイッチを頬ばる。
(お昼食べてなかった感じね、これは)
妻マノンが、バレンドルフをため息をついて見つめていた。
店内にバレンドルフは戻ると「ルミエール様に会ってきますから、すいません、この二人の話を聞いておいて下さい」とマリーナに頼んで、すぐに酒場から出て行ってしまった。

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