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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 168

呪術師たちが作成した骸骨の兵士がオーリッサの都の廃墟から歩いてきて、公領の境界線を警備していた兵士が殺害された。
そのため、ギャングが自供して投降したがリシャールの出してあった命令は、すぐに処刑せよ、だったので兵士たちは処刑したことを民衆に語るはずの生証人までも失われていた。
「東公主は移民を受け入れず虐殺したことを隠蔽するために、自領の兵士も口封じに殺害した」と証拠もない憶測が事実であるかのように広まった。
これが自領の民衆の反感を買った。兵士たちは貴族ではなく平民たちだったからである。
骸骨の兵士は東公領の民衆が暮らす街や村を襲う前に、公領の境界線で兵士を全滅させたところで、バラバラと崩れた。
逃亡中の皇子ジョルジュがアンドレスの街に到着してもたらした情報から、オーリッサの都で呪術による調査を行っていた12人の呪術師たちを、ルミエールの他にバレンドルフや警備隊の隊士、騎士ルシアと騎士マルセリナが全滅させたからである。もし呪術師たちが100人生存していたとしても討ち取られていたはずである。
そのため公領の境界線で骸骨の兵士を目撃した民衆もいなかったので、平民の兵士の殺害という汚名までリシャールはかぶることになった。
東公主リシャールは、そんな未来のトラブルが待っていることをさすがに予想できなかった。
魔導書マトゥの日記をリシャールはどのように使ったか。もちろん骸骨の兵士作成のための呪術の儀式を行ったわけではない。
フラゥレッティへ評議会議員サンダリオからの「黒薔薇の貴婦人様へ。頼まれていたものを入手しましたので贈ります」という南公領の言語で書かれた偽造の密書を添えて、北公主ヴァイモスに送ることに決めたのである。
(さて、ヴァイモス、これをどう使う?)
誰から送られたものかわからないように、王都に来ていた北公領へ渡る旅商人に魔導書と偽手紙を「誰からとは言えないけど、ヴァイモス様に届けて」と大金の手間賃と一緒に手渡したのは、宮廷に仕えている侍女の一人であった。
旅商人は宮廷に仕えている侍女が、城を抜け出し王都の市場に来ているとは思わなかった。
貴公子リシャールに心酔している後宮の愛妾の一人に「これを頼まれてくれたら一夜を共にしよう」とそそのかしたのであった。
その愛妾は、自分の親しい侍女に謝礼を渡し、また旅商人に渡す手間賃も用意した。
愛妾の名はフラゥレッティ。
まさか貴公子リシャールが自分を罠にはめるためのものを運ばせるとは考えなかったのである。
フラゥレッティ本人が宮廷官僚を使ったときは、一度だけである。姉の商業ギルドの女首領イライザに頼んだ。
それは侍女ニコルが、王に拝謁することになった日だけである。「皇子を産んだ侍女が陛下に拝謁することになりました。その侍女が後宮入りすれば私の立場は、その女に奪われかねません」とだけ伝えたのである。
イライザが宮廷官僚たちを操り、侍女ニコルを糾弾させた。
宮廷の派閥争いには、フラゥレッティ自身は興味がない。興味があるのは王妃候補の地位という生活の安定と恋愛だけであった。
東公主リシャールにとって平原の魔女と黒薔薇の貴婦人の父親が残した貴族の派閥が、宮廷を掌握するのにはじゃまである。愛妾フラゥレッティがいなければ貴族の派閥は簡単に瓦解する。

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