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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 166

クラウセスタ十二世が溺愛している愛妾フラゥレッティは、平原の魔女と呼ばれる商業ギルドの女首領イライザの妹である。
イライザが財力だけで宮廷官僚たちを従えているわけではない。イライザに協力して取り入っておくことで、皇子エクトールが王位を継承したとき、フラゥレッティの忠実な配下として宮廷官僚の地位から外されないようにしてもらうためでもある。
クラウセスタ王国から西公領へ事業拡大を進めていたイライザが、西公領最大の商業都市オーリッサが廃墟と化したあと、平原の宿場街ではなく王都エルドニアに滞在している理由は、こうした事情も関係している。
イライザとフラゥレッティの一族は、宮廷官僚として北公領からの鉱石の取引で財力を蓄えた。財力はイライザが継ぎ、フラゥレッティが後宮入りから一年でクラウセスタ十二世から溺愛されるようになりこれで地位は安泰だと気が抜けたのか、イライザとフラゥレッティの父親は死んでしまった。死因は、酒の飲み過ぎによるものとも言われている。
父親の死後、残された遺言書に莫大な遺産を相続する条件が書かれていた。フラゥレッティの金銭面のバックアップを行うことがその条件であった。イライザはその条件を受け入れ、莫大の遺産とギャングの組織化という事業活動を相続した。
イライザの西公領への事業拡大の失敗によるギルドの損失は、フラゥレッティにとっても金銭面の損失でもある。
とはいえ、オーリッサの都に預けられていた金銭は預け主がゾンビ化していなくなり置きざりになっていたのを、王国の調査団が発見する前に丸ごとイライザが回収したので、一時的な収益だけはあった。ただし、預り賃が毎年入ってくる予定は破綻してしまった。長期的にみれば損であった。
イライザは、北公領へ事業の拡大することや東公領へ事業拡大することができないか、王都エルドニアで宮廷官僚や旅商人たちから情報を集めチャンスをうかがっている。
北公領は公主ヴァイモスが職人たちを管理しているので、なかなか隙がない。だが王国経由で鉱石を安く手に入れて取引している。それが崩れないかぎり問題はない。
東公領へ事業拡大は、宮廷のフラゥレッティの派閥と東公主リシャールの派閥が対立していることがあるため、東公主リシャールにイライザが事業拡大のために近づけば、フラゥレッティと敵対することにもなりかねない。
(どうしたものかねぇ、まったく)
商業ギルドの女首領イライザは、そんな情勢をうかがっている。
オーリッサの都を占領している狼たちと残りの呪術師たちが激戦を繰り広げている頃。
東公主リシャールは、王都エルドニアから自領の湖を見下ろす崖の上にある居城へ帰還していた。
廃墟となり遺体だらけのオーリッサの都の視察のあと、そのまま王都エルドニアに向かったため、長期不在となっていた。
(さて、骸骨の兵士の作成の秘密はつかんだが、どうしたものか)
失踪中の評議会議員サンダリオの邸宅から、呪術師の弟子マトゥの日記を、リシャールは発見して持ち帰って来た。
南公主イグナートと評議会議員サンダリオの間で交わされている密書を探しに行き、リシャールは魔導書を入手した。
南公領の古い言語で記されたいかがわしい内容の日記だが、召喚魔法や骸骨を操る魔法についても詳細に記されている。王立神聖教団の調査団が発見していたら、日記は遺体の山と一緒に焼かれていたはずである。

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