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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 163

狼が二十頭だけ路地裏から出てきた。
ただし、先行パーティの前方と後続パーティの後方から十頭ずつ。
挟まれたと呪術師たちが気づいたときにはもう、先行パーティの前方の3人と後続パーティの後方の3人は狼に飛びかかられて、腕や脚を噛まれて動きを止められていた。
呪術師たちは合流したが、襲撃された6人が噛み殺されてしまった。狼たちは続けて襲いかかるわけではなく、大通りから路地裏に素早く逃げ込んで次の機会をうかがっている。
呪術師、残り92人。
11人になった呪術師たちは二十頭の狼を見て、これ以上犠牲者が出ると仲間と合流する前に全滅する危険があると判断した。
建物の中に入って後から来る仲間を待つか、市街地ではない場所まで後退して仲間を待つか、意見が別れた。
日が落ちてしまえば視界が奪われる。後退して野営で見張りを交代しながら、たき火を焚けば、狼が警戒するだけでなく、後から来る仲間からこちらの居場所がわかりやすい、と考える8人は後退すると決めた。
3人は後から来る仲間からはみつかりにくいかもしれないが、狭い空間なら侵入してきた二頭か三頭を撃退できれば、なんとかなるのではないかと考えて周辺の建物を見渡した。
8人の呪術師は、前列4名と後列4人で大通りを戻り市街地から抜け出そうとした。
それを見送った3人は大通りから迷路のような路地に狼が潜んでいないのを確認すると、すでに薄暗い路地の途中にある建物の中へ走り込んだ。
この残り11人の呪術師たちは全滅した。
3人より8人でいるほうが安全というのは間違ってはいない。しかし、8人で移動していた呪術師たちは、都の市街地に入ったのと同じ道順を逆に引き返そうとした。それが間違いだった。
獲物の来訪を知らせる遠吠えは、すでに吠えられている。匂いをたどって追跡していた狼と、市街地の脇道からついてきた狼に挟まれてしまった。野営の準備すらできなかった。狼の群れに囲まれて喰われてしまった。
建物の中へ入った3人は、狭い空間なら少ない頭数と戦うことができると考えたのは間違っていなかった。しかし、それはすでに狼が中にいない建物に籠城した場合である。建物の中にいた狼に襲われ、その血の臭いに別の路地から狼が集まってきた。 
呪術師、残り81人。
騎士ルシアと騎士マルセリナであれば、初めに襲いかかってきた八頭の狼のうち六頭までは、大通りで負傷させ逃げられないようにする。残り二頭は裏路地に踏み込み、追撃して絶対に逃がさない。
そして二頭か三頭だけ食糧として捕獲するだろう。
負傷した狼を置き去りにすることで、この匂いの人間は危険だと狼たちに教えこむことができる。
死亡した19人の呪術師たちは、狼が群れで行動することを単純に脅威と感じただけで、利用しようとはまったく考えなかった。
オーリッサの都の大量の人骨は、狼たちからすれば魅力的な餌だった。また遺体を焼き続けた煙の匂いが風に流され狼たちをオーリッサの都へ案内した。
そこにあらわれた肉のついた弱い獲物は、狼たちにとっては素敵なごちそうであった。

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