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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 17

アベコウキは、なにか余計な情報をマリーナに教えてしまった気がしたが、あまり深く考えないことにした。
「この街で有名な人って会ってみたいかも」
そう言いながら、マリーナの隣に座って、軽くもたれかかってみた。
(街の調査はもういいや。それよりも昨日の夜の続きをしよう、そうしよう)
アベコウキはマリーナに甘えるふりをして、マスクデータの[感度]を[普通]から[敏感]に変えようとしたとき、二人の訪問者がやってきた。
「ドアがノックされたわ、誰か来たみたい。コウくん、ちょっと待っててね」
ソファーからマリーナが立ち上がってリビングから出て行った。
(まったく、絶妙なタイミングで俺のお楽しみのじゃまをするとは、誰だよ)
兵士見習いのアルベルは、ワンピースのような村人の服にエプロン姿のマリーナが玄関のドアを開けたのを見て、少し拍子抜けした。
評議会メンバーの人物ということで、緊張していたからである。
「いきなりの訪問で申し訳ありません」
「僧侶メトラ様、こちらの方は?」
「アルベルといいます。警備隊の兵士見習いをしています」
(コウくんとか、この子とか、なんかかわいい子とよく会うわね)
「とにかく、ここで話をするのもなんですから、よろしければ家にあがっていって下さい」
僧侶メトラがうなずくと、マリーナだけ先にリビングに戻ってきた。
「コウくんの会いたがっていた街て有名な人が来たわよ。僧侶メトラ様、あとおつきの女の子だけど警備隊の人だって」
アベコウキはなんとなく嫌な予感がした。にこにことしているマリーナの表情とさっき検索したメトラの情報、大神官のイメージのギャップにとまどう。
普通の家に休日の昼間、いきなり人気の有名芸能人が訪問したような感じがする。
「あ……」
僧侶メトラが一瞬、身をこわばらせたのをアベコウキは見逃さなかった。
「どうかなさいましたか、僧侶メトラ様」
マリーナが僧侶メトラに声をかけた。
「いや、その……驚いてしまいますね、さすがに」
兵士見習いアルベルは、唖然として声も出ない様子である。
(コウくんの僧侶の服装がまずかったかしら。でも、事情を私がちゃんと説明すれば大丈夫よね)
マリーナがそっとかばうように、アベコウキの隣に立つ。
「大神官メトラ様、はじめまして」
アベコウキがメトラに挨拶をしてみた。
(今、この少年、わたくしのことを、大神官とたしかに呼びました。なぜエード族でもごく少数しか知らないわたくしの呼び名を、この少年は知っているのでしょう?)
「はじめまして、僧侶のメトラと申します」
メトラはアベコウキの髪と瞳を見つめた。
(黒い髪と黒い瞳。たしか古きエード族の瞳の色は今とはちがって黒い瞳だったと。でも、肌の色は我がエード族の褐色ではない)
「とにかくみなさんお座りになって下さい。今、お茶の支度をいたしますから」
アベコウキの手を握り、マリーナはキッチンへ。
ただならぬ気配は、平民の主婦とはいえ直感的に察することができた。

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