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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 156

そのまま十五年間ニコルとジョルジュは見つからずに平民として生活していた。
ジョルジュが十五歳になったとき北領公ヴァイモスが皇子が双子であった事実を、侍女ニコルを逃がした兵士の遺言として知らされた。
北領公ヴァイモスの配下たちがひそかに探索して母子を見つけ出し、北公主ヴァイモスがクラウセスタ十二世に進言したことで、ジョルジュに王位継承権を持つ皇子であることが使者から告げられた。
その日のうちにジョルジュは潜伏していた村から姿をくらまし、王都エルドニアには侍女ニコルだけが連行されて御前に立たされた。
「逃げずにおれば王妃になれたものを、なぜ子を連れて逃げたのか」
クラウセスタ十二世に問われたニコルは、当時、城の衛兵と恋仲であったことを知りながら城に監禁して犯した「鬼畜」と王を罵った。
それでもニコルは成長したエクトールを一目だけでも見られれば、そして連れて逃げられなかったことを母親として詫びることができればと、死を覚悟して王都エルドニアに赴いたのだった。
侍女ニコルは貴族ではないため王妃にはふさわしくない、婚儀も済ましてはいない、双子の皇子を拉致した罪もあるとクラウセスタ十二世の愛人たちの飼っている官僚たちに糾弾され、暫定処分として幽閉されたが「病死」した。
城の衛兵だった男は北公主ヴァイモスに、自分の逃がした皇子を次の王にすることが夢だと語った。それが恋人を王に奪われた復讐だ、と。
鉱山で負傷して死が間近になった男は遺言として、ヴァイモスに隠された皇子の情報を託した。
クラウセスタ十二世が崩御すれば、次の王は皇子エクトールが継ぐと宮廷官僚たちは考えていた。
皇子ジョルジュは現在、西公領の丘陵地帯に潜伏していた。南公領の呪術師たち、ルミエールの腹心であるライラと吟遊詩人ディオン、そして逃亡者の皇子ジョルジュが丘陵地帯の同じ宿場街にいる。
ライラと吟遊詩人ディオンは封鎖中のオーリッサの都を通り抜けることができず、都の西寄りから丘陵地帯に入った。呪術師たちはオーリッサの都を迂回して東寄りから丘陵地帯へ集まりつつあった。
トレスカーナの街。
王国の平原地帯とオーリッサの都をつなぐ街。王国から西公領を訪れると、旅人たちは最初にトレスカーナに立ち寄ることになる。丘陵地帯で一つだけの居住地である。
トレスカーナの街はまだ西公領がエード族の王国だった頃に、クラウセスタ王国が侵略のために兵士を駐屯させた場所であった。砂漠化の影響でエード族の王国が滅亡したあと、その跡地は開拓民によって街として使われた。
オーリッサの都が建造されるときにはクラウセスタ王国からトレスカーナの街へ多くの職人たちが訪れて栄えていた。
オーリッサの都の市場と王都エルドニアの市場を結ぶ中継地として旅商人たちが補給のために必ず立ち寄る街であった。そのため丘陵地帯の住人のほとんどがこの街とその周辺に暮らしている。
オーリッサの都が封鎖されていても街の住人たちは王国に移住せずに暮らしている。
丘陵地帯は作物の育成に適していおり、また森林もあり、トレスカーナの街の果実酒は美味で貴族たちが愛好してきた。酒造りの街でもあった。

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