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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 153

「いやぁ、最近それを作ってもらったんですけど、うちの店は常連の顔なじみが多いもので、店のメニューをおぼえているみたいで、使ってもらえないんですよ。でも初めてのお客様には楽しんでもらえるはずです」
バレンドルフに言われ、リエットが指先で石板にふれてみた。
(なに、これ、すごい、頭の中にお料理が匂いまで浮かんでくる)
「お客様、<自由の広場>に展示されている石板はご存知ですか?」
マノンがルベールに話しかけた。
「噂で聞きました。さわって目を閉じると、目を閉じているのに星空がみえる石板があると」
「それと同じような仕組みの石板らしいです。私たちには難しくてよくわかりませんけどね」
ルベールも指先で、おずおずと石板にふれてみた。
驚いてあわてて指先を離すと、頭の中に浮かんだ料理の名前と映像や匂いも消えた。
「味は食べてからのお楽しみです。では失礼いたします」
バレンドルフが二人に言ったあと一礼して厨房に戻っていった。
(ああ、バレンドルフさんは、ディオンさんに似てるんだわ。話し方とか笑いかたとか)
リエットが吟遊詩人ディオンを思い出した。
二人バレンドルフおすすめのサンドイッチとスープを注文した。料理が来るまで、リエットは石板に指をつけて、目を閉じて楽しんでいた。
石板はバレンドルフがアベコウキに作らせたものである。ダンジョン暮らしをする人たちがパンとサラダとスープと、うちの店のサンドイッチを食べ放題では売り上げに関わる大問題だから、他のメニューの売り上げを上げる方法を考えてくれ、と言ったら石板を持って店にきてマリーナとアベコウキで全メニューを10日かけて食べながら記録した。
そこから味の記録を削除し、映像と匂いがふれると思い浮かんでくるメニュー表の石板が完成した。
店が混み合う時間がすぎると、客はリエットたちだけになった。
「ごちそうさまでした。おいしかったです」
「どういたしまして。ありがとうございます」
マノンがそう言ってから「お二人ともお茶でもいかがですか?」と言った。
「マノン、あまり長話するなよ。たぶんあの二人、今日アンドレスの街についたばかりで疲れてるだろうから」
「はーい」
本当は自分が二人にあれこれ話を聞きたいバレンドルフが、厨房で妻マノンの後ろ姿を見送った。
途中でライラと吟遊詩人ディオンに会ったことやアンドレスの街に移住希望であることなどを、リエットはマノンに話した。
ルベールは話している女性二人を見ながら、口をはさまずにお茶をちびちび飲んでいた。
「夫の職場は人手不足ですから、ルベールさん、すぐ働けるかもしれませんよ。あとでバレンドルフに聞いてみますね」
「あの、ライラさんが言っていたマリーナさんとアベコウキさんのお宅はどのあたりでしょうか、明日訪ねてみるつもりなんです」

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