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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 147

荒れ地までたどりつくことなく、狼の群れに遭遇して喰われてしまった。旅商人の荷馬車が頻繁に通っていた頃は、狼は警戒してうろつかなかった。しかし、荷馬車というガラガラと車輪を鳴らして通りすぎる自分たちよりも大きなものがいなくなり、安心して狩り場を広げていた。荷馬車の馬に挑んではねられた仲間がいたことを狼たちは忘れない。
「よくわかりませんが、死んでしまったようです」と二ヶ月後ルミエールに報告された。
「そうか」
とルミエールも言っただけだった。
媚薬の入手ルートも仲間の数も知らないが、女の嫌がることしかしないギャングの小悪党が、居住地が付近にもない土地で死んだ。それだけのことだったからである。
騎士マルセリナはルシアが特技の「拳法」の早駆けによる薬草サラダの配給で活躍する準備をマリーナやアベコウキと一緒にダンジョンで行った。
リュックサックに食糧を三日三晩、詰め込み続けた。
伝令係の「ロイ」が長くアジトに戻らなければギャングどもは警戒して別のアジトに移るかもしれず、急がなければならなかった。
ダンジョンの住居は快適で、特に疲労回復に効果のある湯は気持ちがいい。旅で空腹に耐えたので、手軽に食事ができるのも、とてもありがたい。
しかし、単調な作業の連続はマルセリナにとって、かなりしんどかった。
三日目には僧侶メトラが手伝いに来てくれたが、それでもしんどかった。
マルセリナは今まで朝から晩まで単調な作業を、黙々と続けることなどしたことがなかった。
南公主イグナートの企み、西公主ルミエールが就任したのでギャングどもが刺激されて活動が過激化したと民衆に思わせる計画は、マルセリナの地味な作業によって阻まれた……ともいえる。
粗悪な媚薬は、効果が中途半端だが、毒性は強い。
南公主イグナートにはそれがわかっていた。
ギャングどもを西公領最大の商業都市オーリッサを拠点に飼っていた。飼い主の評議会議員サンダリオを失い、野に放たれたギャングども。評議会議員サンダリオとのつながりのあったギャングはいずれにしても始末しておかなくてはならなかった。
実権を握っていた貴族を失った西公領を、ギャングどもがたやすく掌握できるとは南公主イグナートは考えてはいない。
呪術師たちが西公領で召喚魔法が使えなくなった理由を探り出すまでのオトリとなり、ギャングどもが西公主ルミエールの評判が下げれば、オーリッサの都の復興、西公領の経済力の発展を妨げることができるはずだった。
「疫病」のでまかせの情報を民衆に流しつつ、召喚魔法が使えなくなった理由を呪術師たちに探らせる。
そのあいだの時間稼ぎとしてギャングどもに孤立した村や街を占拠させる。飼い主を失って統率を失って弱体化したギャングどもには、活動するために潜伏するアジトが必要だった。粗悪な媚薬で服従した西公領の民が、ギャングを活性化させる。
ギャングどもにはルミエールが行う西公領復興の妨害工作を行わせる予定だった。粗悪な媚薬で服従した民はギャングに搾取され死ぬ。搾取された民の死は、西公主ルミエールの評判を下げてくれるはずだった。
根を失った草木が枯れるように、ギャングどもはルミエールの妨害をして始末され、ギャングどもの飼い主であった評議会議員サンダリオとのつながりと南公主イグナートとのつながりは闇に葬られる。
ギャングどものは孤立した居住地をアジトとして潜伏することにすら失敗した。これは南公主イグナートを落胆させた。
呪術師たちは調査員であり工作員でもある。ただし西公領に潜入している人数は、ギャングよりもかなり少ない。
以前は西公領で媚薬を生成できたことや媚薬を流通させるための最適な商業都市オーリッサを、配下の評議会議員サンダリオが握っていたので、呪術師は少数でも問題なかった。

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