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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 145

「メトラさん、解毒薬の材料の植物とはちがうよ。薬草だから。たぶんアンドレスの街はむかしエード族の神様を信じてた石工さんたちが一生懸命、いろいろ考えて作ったんじゃないかってディオンさんが話してくれたんだけど、それでここにしか生えてない野菜になっちゃったんだと思うんだ」
地底に大地震を起こして出現する怪獣に変化する前の魔力の塊があるから、とさすがにアベコウキは言えなかった。
「アベコウキ、その食糧がたくさん入るバックとやらは、いつの間に作ったのかな?」
「ルシアさんとマルセリナさんが出発する前の日の夜に。マリーナさんが二人に旅のあいだ食事に困らないようにしてほしいって頼まれたから」
ルミエールは執務室でルシアが背負っていたバックから石板や他の証拠品を取り出していたのを思い出した。
「アベコウキ、そのバックにマリーナ女史のサラダとサンドイッチとスープはどれだけ入る?」
アベコウキによると、媚薬の水に溶かしてある魔力の結晶が会議室にある薄紫色の粗悪品なら一度サラダを食べたら、もう影響を受けなくなるという。
どれほとの効果があるか、ルミエールたちは、警備隊屯所の牢に入れてある「ロイ」に皮袋に残った水を飲ませた。落ち着いたところで食事にスープと薬草サラダとパンを与えてみた。
翌日、敵の伝令「ロイ」に押収した薄紫色の結晶を全部溶かしたスープを飲ませてみたが「水をくれ」と騒がなくなった。
この結果から、ダンジョンのサラダを警備隊の寮の食堂の食事やバレンドルフの店の期間限定のサービス品として提供した。
「サラダが流行ってるらしいな」
「なんだまだ食べてないのかよ。うまいぞ」
警備隊の兵士の話題となった。
「野菜を食べて元気に」と<自由広場>で子供たちにも野菜を食べてもらうようにスープの具やサンドイッチに薬草を使った料理が、バレンドルフの妻マノンの露店で提供された。
警備隊の兵士や街の住人から大好評で
「ほらね、コウくんが好き嫌いしてるだけで、みんなすごくおいしいって言ってるよ」
とマリーナがアベコウキに言った。
アンドレスの街でサラダブームが起きているとき、騎士ルシアはリュックサックを背負って敵のアジトで、サラダつきの食事を配給していた。
大容量リュックサックは一つしかないが、逆に兵士を率いて奇襲するよりも目立たない。
事前にアンドレスの街の地図で敵のアジトの村を最短でまわれる順路を確認。旅商人が来なくなって困っているだろうから西公主ルミエールが食糧の配給を開始した、とルシアに言われ、断れば疑われるとギャングたちは村人たちにサラダを食べさせた。
小村の人数はさほど多くはない。三日目には敵アジトのすべての村に配給が終わった。
「まず敵のアジトに配ってやれ、あまりは他の村にも寄って配ってしまえ」
ルミエールのこの命令によって媚薬の水を無効化されたギャングどもは村人たちに石を投げられ、無事だった者は他の公領に逃れようとして悲惨な末路を遂げた。
騎士ルシアをツルガ村では「サンドイッチさん」と子供たちがあだ名をつけて呼ぶようになった。
村人たちは薬草のサラダを食べて「どうやって育てたらこんなにおいしくできるのですか?」とルシアに質問した。村人たちは、自分たちも同じ野菜を育てているがこんなにおいしく育てられない、なにかコツがあるはずと、ルシアにいろいろ話しかける。
水の量、土の耕しかた、日の光の浴びぐあい。ルシアは野菜を育てるのも大変なことだと実感した。
こうして配給をしているが、野菜の栽培はしたことがないのでわからない、とルシアが言うと村人たちはとても残念がっていた。

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