PiPi's World 投稿小説

奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

の最初へ
 131
 133
の最後へ

奇跡の男と牝奴隷たち 133

「そこで思いついたんだけど、もう菜園を作る土地にこだわる必要がないんじゃないかって」
アベコウキがそう言ったとき、会議室の扉がノックされ、騎士ルシアとマルセリナが皿に乗せたサンドイッチを運んできて全員分、前にならべた。
「これは?」
「バレンドルフさんのお店の、マノンさんが作るおいしいサンドイッチ。食べてみて」
また、保存した食糧なのかと思いながらバレンドルフも僧侶メトラが食べた。
ルミエールだけ、まだ手をつけずにバレンドルフと僧侶メトラの表情をながめていた。
「二人とも味はどうだ?」
とルミエールが言った。
「いつものサンドイッチですよ」
バレンドルフが言った。
「おいしいですよ」
僧侶メトラが言った。
「では、私もいただくとしようか。アベコウキから話を聞いたときは信じられなかったが……」
ルミエールとマリーナもサンドイッチを食べた。
最後にアベコウキがサンドイッチを食べ終えて、騎士ルシアとマルセリナが皿を下げて退室すると、説明を再開した。
「全員が食べたサンドイッチの一つだけが本物。他のはダンジョン保存室で作ったニセモノなんだ。マノンさんのサンドイッチをまねして材料から調理してみても、なかなかおいしく作れない。けど、サンドイッチそのものを魔法で再現してみることはできちゃったんだな、これが」
ダンジョン第一層の住宅のキッチンの機能として、魔法の鍋にはスープ、皿にはパンまたはサンドイッチが出現する呪文認識機能を追加した。
アンドレスの市場の露店のスープ。
手作りパン屋のホットケーキ。
マノンさん特製サンドイッチ。
今のところ、この三品が出現するように記録されているとアベコウキが言った。
「ダンジョンの第三層を全部使って、第一層の機能を追加してみたんだ。だから第三層はただの何にもない場所に見えるけど、石板の仕組みと同じで、この世界の情報を記録しているってわけ。ここに記録された料理はダンジョンの第一層で食べられるよ」
オーリッサの都で入手した「賢者の石」の粒を全部と、アンドレスの地底にくすぶる魔力を、がっつり1%使用して、壁、天井、床、が全部、石板のように世界の情報を記憶しておく場所を作った。
ダンジョン第一層にある水の供給システムは0.02%、ダンジョン第二層の魔力吸収システムは0.05%の消費で作成された。
ダンジョン第三層のシステムは他の階層のシステムよりも複雑でややこしい魔法で作成されている分だけ、作成に魔力を多く使ったが便利な機能である。
「うちの店のサンドイッチだけじゃなく、なんでもニセモノが作れるのか?」
「なんでもってわけじゃないよ。たとえばバレンドルフさんのニセモノを作るのには、もっと大きな広さと強い魔力が必要らしい。あと記録するのにとても時間がかかるんだ。金貨とか銀貨は、ほしい枚数に必要な原石を第三層にいっぱい詰めこめないとできないみたい。1ヶ月で今のところ、おいしいお料理3品だけが記録できて作れた感じ」
バレンドルフの質問にアベコウキが答えた。
「ダンジョンが作ったお料理は、地上に持ち出さなければ、鮮度が落ちず長期保存できるみたいです」
マリーナが補足で説明を追加した。
ダンジョン第一層に24時間のあいだに出現するパン、サンドイッチ、スープを合わせた量は、第三層を街ひとつ分の箱として考えたときの容量までとなっている。
他の料理を登録すると一品あたりの出現量は減ってしまう。現在は3品なので、スープ40%、パン30%、サンドイッチ30%でアベコウキは調整してある。
「生きるのに必要な、きれいな水と空気、あったかい光とマノンさんのサンドイッチはどうにか用意できましたよ」
(たしかに俺にはマノンのサンドイッチは生きるのには必要な心の味だが。アベコウキがサンドイッチをそんなに気に入ってくれるとはな)
バレンドルフが好きなものを材料に、妻マノンが愛情たっぷりで考案したサンドイッチなのである。

SNSでこの小説を紹介

その他の他のリレー小説

こちらから小説を探す