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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 121

五年間の減税とひきかえに、王国からの救援物資や資金援助はないことを、ルミエールは西公主に任命されたことを告げるためアンドレスの街に訪れた王国の使者から聞かされていた。
またダンジョンの湯でも、疲れは癒されても空腹感は消えないことをアベコウキから説明されている。
アベコウキは食糧を手軽においしく調理する鍋やフライパンなどを考案して、魔法効果を付加した調理器具をダンジョンの住宅すべてに設置したが、食糧を作り出すことはできていなかった。
アベコウキが賢者だった頃は、塔の途中の階で食堂を経営している料理人が住み着いていた。塔を出て周囲の森で食材を確保してきていた。
「こりゃあ、便利な袋ですな」
見た目よりもかなりの容量が入る上に、重さは満杯まで入れても楽にかついで歩ける背負い袋を作ってやったかわりに、無料で食べ放題にしてもらった。
アンドレスの街の住人が食べる分の食糧は、街のそばにある雑木林に住み着いている動物や街の住人たちが畑で作物などで補っているので、魔法の便利な背負い袋で、住人の食べる食糧は自分たちで必要な分だけダンジョンに持ち込めばいいと、アベコウキは考えていた。
そのため、水は豊富だが食糧そのものをダンジョン内で生産して確保することは、ダンジョン内に土も入れられないので、あまり考えなかった。
流民を保護したいルミエールの考えはわかるが、魔力吸収の巨大結界も作ってしまい、召喚魔法で食材確保という、アベコウキにとっては安易な方法もできない。
西公領は北公領のように売る鉱石が採掘できるわけでもなく、また砂漠が1/3の領域に広がっているので、南公領や平原地域の王国よりも食糧の生産性はあまりよくない。
東公領では作物の栽培以外にも、巨大な湖の漁業や海での漁業なども行われているが、西公領には水産物の資源もない。
商業都市オーリッサは食糧を取引する西公領の市場でもあった。平原地域の王国からの小麦のようなものや東公領からの水産物の加工品などが持ち込まれて、西公領の各地をめぐる旅商人たちが買いつけていたのである。その市場の都なくなったことで、輸入される食糧分が不足することになった。
食糧を輸入するにはまとまった資金が必要だが、その資金の元になる売れる品物や物資がない。
南公領の人買いに、民を奴隷として売りさばくわけにもいかない。百人助けるために一人を売る。それはギャングのやりかたである。
王都エルドニアのように、街道を使い旅商人たちが毎日のように集まってくるわけでもない。納税として各地から集められたものを、商人たちに売りつける利益が入ってくるわけでもない。

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