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奇跡の男と牝奴隷たち
官能リレー小説 - その他

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奇跡の男と牝奴隷たち 120

媚薬の在庫を疫病の薬として商人のふりをして村で初めは安く売り、依存させて、最終的にアジトにするギャングたちがあらわれた。
アンドレスの街には僧侶メトラとメトラの指導した治療の法術を使う僧侶たちがいて、病やケガの治療に従事していたので、噂を信じて薬を求める者や、病の兆候の噂を信じこんで暴挙に出る者はいなかった。噂を聞いて不安になった街の住人にメトラは広場の教会で、疫病の特徴は発症するまで何もなく、また治療も可能であること、しかし、オーリッサの都にはまだ近づかないほうが安全だと説明した。
そのため街の住人たちは、アンドレスの街の周辺以外の地域へ出かけることを自粛したので、他の地域の混乱に影響されなかった。
他の地域の混乱は農作物の収穫に影響をあたえた。だが東公主リシャールによる宮廷からの減税の進言のおかげで、西公領の民衆は、深刻な食糧不足に陥ることは避けられた。民衆が餓えて、南公領からの物資を供給されていたら、西公領の民衆の支持は南公主イグナートに集まっていただろう。
南公主イグナートはギャングたちに疫病の噂につけこんで活動することを、配下の呪術師たちから伝えさせた。また、媚薬の生成ができなくなった理由を呪術師たちに調査せよと命じた。ギャングどもに呪術師たちが始末されないように媚薬を密輸してやった。そして、西公領や東公領に潜伏させ続けた。
<自由の広場>への他の地域からの来客の減少は、疫病の噂の影響もあった。
商業都市オーリッサの壊滅により、商人たちのなかには、廃業を余儀なく選ばざるえなった者たちがいた。
自暴自棄になった者たちを、ギャングどもは配下として取り込んだのだった。
ルミエールによってたった三年で商業都市オーリッサが復興するとわかっていれば、自暴自棄にならずに再起を決意した者もいたはずだが「もう、オーリッサの都は終わった」という南公主イグナートの流言の計略により深く絶望していたのである。
「オーリッサの都からの生存者や噂から疫病とされて他の街や村から追い出された者たちが、アンドレスの街へ来たときの対応を決めておこうと思う」
ルミエールは疫病の情報で、西公領のアンドレスの街以外の地域が混乱しているのを想像できていた。
(生存者はいないと思うけどね、さすがに)
アベコウキと騎士ルシアが似たようなことを思いながらゾンビの群れを思い出していた。
ルミエールでさえ、ギャングどもが南公領から密輸された媚薬を使って勢力をじわじわと拡大しつつあることまでは予測できていなかった。
ダンジョンの使用をルミエールから提案されて、アベコウキの顔を全員が見た。
「食糧がなんとかなれば、アンドレスの街に来た人たちを保護できると思う」
アベコウキが即答した。
「食糧か。資金があれば東公領から輸入してもらうことはなんとかできるだろうが……」
ルミエールがそう言ってから、黙りこんで考えている。

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