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奇跡の男と牝奴隷たち
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奇跡の男と牝奴隷たち 115

「チキッ」とルミエールの肩で鷹が鳴いた。
「鷹よ、王都からごくろうであった。メトラ、騎士団の鷹は何を食べる?」
「干し肉でも、生肉でも、食べるはずですが……」
最新鋭の通信手段である鷹だが、ルミエールはどうやら気に入ったようである。
のちに「ルミエールの鷹」という仇名で呼ばれたのは傭兵バレンドルフである。ルミエールが肩に乗せて歩いた鷹は命じられたら、敵に飛びかかる勇猛さもあった。
ルミエールとメトラが教会から出てくると、教会の前にアベコウキと騎士マルセリナがいた。
ルミエールに声をかけられ、ルミエールの肩にのっている鷹を騎士マルセリナは見た。
騎士団の鷹だとすぐ気がついた。
「騎士団からの伝令だ。マルセリナとルシアは私の警護を任された。よろしく頼む」
「御意」
マルセリナは一礼して、ルミエールと僧侶メトラが街の住人たちのほうへ戻って行くと首をかしげた。
(騎士団本部に帰還の伝令ではなかった。なぜ?)
マルセリナがそのとまどっている隙に、アベコウキはさっと離れて、ルミエールとメトラのあとについていく。
(マルセリナのあの雰囲気は、勧誘だな)
アベコウキは、まだ大陸に帝国がなかった遠い過去の時代に、王国の宮廷に王の側近として迎えられ、大賢者という称号を与えられたことがある。その経験から、アベコウキは平民でいるほうが気が楽だと思っている。
ライラは広場から飾られた荷馬車の荷台に乗りこむと、吟遊詩人ディオンが馭者として馬をのんびりアンドレスの街へ。街の住人がそれを見送る。
アンドレスの街に到着したあとは、二人はダンジョンで宿泊の予定である。
西公領の首都オーリッサが壊滅したことで、アンドレスの街にも影響があった。広場への来客が減ったのと、疫病の噂の不安が広がった。
しかし、結婚式が行われたこの日の広場は、それを忘れさせるほど、アンドレスの街の住人たちの明るい声や活気が満ちていた。
アベコウキはゾンビ大量増殖事件のあと、マリーナの家のリビングのソファーでごろごろしたり、散歩したりしながら、ダンジョンのフロアを増やしていた。一階は居住スペースにしたが、さらにその真下にスペースを作って、巨大な円の内側に五芒星がふれている魔法陣を配置した。
オーリッサの都とその周辺を結界として人間をゾンビ化する魔法陣にふれたアベコウキは、アンドレスの街を中心に地底でくすぶっている魔力の塊で南公領との国境付近の荒れ地、西方の砂漠地帯、オーリッサの都から北の平原へ続く丘陵地帯、東公領の巨大な湖までを円で囲うように範囲とする結界を作ってみた。
この範囲内であればオーリッサの都で発生したような、時空の裂け目の開きかけが発生しないように自動で処置できる。
人間の生気を吸収して限界に到達すると爆発して裂け目を発生させる魔法陣が発動てきないように、吸収した見えない力は、アンドレスの街の地底にある魔力の塊に吸わせる仕掛けを作ったのてある。
西公領と東公領の一部では魔法陣を使用した召喚魔法が発動しない。
呪術師が魔法陣に魔力を注入して、時空の裂け目を開いて何かを召喚しようとしても、裂け目を開く爆発が起きる前に、注入した魔力を横取りしてしまうという仕掛けである。

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